ニッポンの海を眺める
オーシャンビュー・スイート
この旅で宿泊したのは、鳥羽湾を見下ろす高台に立つ「鳥羽国際ホテル」のオーシャンビュー・スイート。朝、目覚めると同時に海を眺めたかったのと、街の喧騒から離れた静かなロケーションにあることが決め手となった。
「おーっ」。部屋に入ったとたん、つい叫んでしまったのは、あまりにも眺めがよかったから。一面の窓の外に緑と海が広がる部屋は、開放感たっぷり。窓際には望鏡鏡があって、ずっと外を眺めてしまう。
穏やかな湾には養殖の筏があって、人の営みが感じられるニッポンの海らしさにあふれた風景に、心がほっとする。今まで見てきた、カリブの海とも、アジアのリゾートともまた違った、優しい情景。国内旅行はこうでなくちゃ。
このホテルで楽しみにしていたのが、隣接する「鳥羽国際ホテル 潮路亭」の露天風呂。真珠とアコヤ貝から抽出した成分を惜しみなく配合したパールオーロラ風呂だなんて、なんという贅沢!
感触は、サラサラとして気持ちがいい。翌朝、早起きをしてお湯に浸かると、パール成分が太陽に反射してキラキラと輝いていた。湯上りはサラサラ、でも保湿効果もあるし、皮フ表面にベールを作るから、ずっと温か。鳥羽といえば、ミキモト真珠島が有名だが、まさかお風呂で真珠の恩恵にあずかることができるとは。
さらに幸せな気持ちにさせてくれたのが、このホテルの中にあるスパ。ミキモト コスメティックスによる、オールハンドのトリートメントが受けられるのだ。使用するプロダクトは、真珠に含まれる希少な保湿成分をたっぷり含んだもの。眼下に広がる鳥羽湾は優しく、セラピストのタッチも優しく、いつのまにか熟睡してしまった。
真珠の養殖業はかつて、海女さんたちが海底に潜ってアコヤ貝を採取することでなりたっていたという。彼女たちの活躍がなければ、こうして海を眺めながら至福のトリートメントを受けることはなかったかもしれない。
やっぱり海女さんはすごい! と最後まで感じる旅は、すっかり心と身体を元気にしてくれた。
鳥羽国際ホテル
所在地 三重県鳥羽市鳥羽1-23-1
電話番号 0599-25-3121
http://www.tobahotel.co.jp/
芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2017.04.11(火)
文・撮影=芹澤和美