音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!
さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?
【次に流行る曲】
田口淳之介「HERO」
芸能界にまかり通る「ジャニーズルール」
伊藤 今回は、田口淳之介のソロ活動開始第一弾シングル「HERO」。発売元がImmortal, Inc.となっていますが、聞いたことないレーベルです。きっと彼のソロ活動のために作ったインディーズレーベルなのかな? 正直、情報が少なくてこのコラムで取り上げるのも難しそうだったのですが、オレのわかる範囲で紹介したいと思います。
山口 おー。今回はチャレンジングな選曲ですね。元ジャニーズ・エンタテイメントのプロデューサーの伊藤さんが、ジャニーズ事務所をやめたアーティストの新作を紹介するって勇気ある行動ではないですか?
伊藤 もう7年になりますからね。すっかり蚊帳の外ですよ(笑)。しかし、田口淳之介はオレとは違います。2016年の3月31日にKAT-TUNを脱退してジャニーズ事務所を退社。そして9月に自身の公式サイトを開設し、11月にシングルをリリース。この短い間にかなりアクティブな動きがありました。ただでさえ、ジャニーズ事務所を退社するというショッキングな動きだったのに、その後もスピード感ありました。その間、SMAP騒動もあったので、彼の心中にも色んな筋書きがあっての今回の活動再開なんじゃないでしょうか。
山口 ジャニーズ事務所というのは、日本の芸能界の中で、特別な存在なんですね。業界には明文化されていない「業界慣習」がたくさんありますが、ジャニーズだけの「ジャニーズルール」がありますよね。
伊藤 ありますね。
山口 ジャニーズ事務所のタレントが表紙に起用された雑誌は、ウェブサイトに載る時に人物部分のみ消されることも多いですね。意味不明です。記者発表でも、ウェブメディア用の撮影だと、その映画や舞台の主役でも、ジャニーズのタレントはいなくなって残りのキャストで撮影したりします。業界歴が長い僕ですら、実際に立ち会うと驚きますよ。
伊藤 ユーザーからみても違和感ありまくり(笑)。
2016.10.30(日)
文=山口哲一、伊藤涼