日本のいい男市場、生産&供給率ナンバーワンの芸能事務所といえばジャニーズ。いい男が集まる事務所には、心温まるいい話があるもの。年に150本のステージを観ることもある生粋のジャニヲタで、ジャニーズを知らない人にその人の好みに合うグループを紹介する“ジャニーズソムリエ”を自称するライターが、“ジャニヲタの敵”とされる出版社で、ジャニーズ愛を叫ぶ。

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一回性の“尊さ”にヲタ号泣

●関ジャニ∞のコンサートはここを見て!
ロックでパンクなバンド曲から、バラードのピアノ弾き語り、ダンス曲になんちゃってヒップホップ、女装にコントまで。カッコいいから可愛いからおもろいまで何役もこなすライヴは、楽しさが爆発する、いわば“お笑いとロックフェスの融合”。お祭り男たちの冒険はまだまだ続く。

 ジャニーズのライヴにサプライズとハプニングはつきもの。メンバー脱退直後のライヴならヲタは、「脱退メンバーのパートは誰が歌うのか?」と心配する。

 たとえば稲垣メンバーが逮捕されたあとのSMAPのツアー(しかも10周年イヤーだった。20周年には震災、25周年には解散騒動と周年のたびに試練が立ちはだかる)では、「5人が4人になったときのダンスのフォーメーションに苦戦した」と、あとになって中居が語ったことがある。事件翌日にナゴヤドームでライヴがあったときは、開演前に4人がステージに立ち、メンバーが起こした事件について謝罪した。最初こそしんみりしたものの、その日のライヴは4人の気迫が漲り、ある種の“神回”だった。

 それから14年後の京セラドーム。関ジャニ∞のライヴオーラスが開幕する直前、なぜか大倉を除く6人のメンバーがスタッフパーカを着てステージに立った。事件? 不祥事? 状況を呑み込めないファンがざわつく。

 村上が「大倉が腸閉塞で……」と事情を説明、「みんなが許してくれるなら」と、大倉抜きでの6人のツアーファイナルが始まった。その「元気が出るLIVE!!」ツアーDVDに収録されたのは、大倉抜きのオーラス回。メンバーの不在を必至で補おうとして、安田が大倉のウチワを衣装の下に隠し持っていたり、普段はあまりファンサをしないすばるが、ニコニコのアイドルスマイルでユニット曲の大倉パートを歌い踊ったり、このときしか見られないアドリブが満載だった。

 最後に「今日は、かなしい思いをした人もいると思うけど……」と挨拶しているとき、すばるの涙腺が崩壊した。それから「でも、俺らはみんなの前に立とうと決めたので。次に会えるときまでに、もっとデカく強くなっとけよ、ってタイミングだったと思うんで」と熱っぽく続けた。

 Hey !Say! JUMPの舞台「SUMMARY2010」では、山田涼介が綱渡りに挑戦し、初日早々失敗してしまったことも。踊ったり歌ったりふざけたり、ジャニーズのアイドルはいろんなことをやるから、同じセットリストであっても、毎回同じような笑いや涙を体験できるとは限らない。だから、お金と時間とチケット運のあるジャニヲタは“全ステ”(ツアー全部のステージに参戦すること)を目指すのである。

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2016.09.04(日)
Text=Guriko Kurabe
Illustrations=Keita Mizutani

CREA 2016年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

いい男がいっぱいだと幸せ。

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