ランチはかやぶき屋根の古民家で

「うぶすなの家」は、1924年に建てられた、かやぶき屋根の家を再生。有名な陶芸作家の作品を鑑賞できる。宿泊することも可能。

 2006年に「うぶすなの家」で集落のおかあさんたちが食事を提供するようになったのは、2004年に起きた中越地震がきっかけだったのだそう。

集落のおかあさんが笑顔で迎えてくれた。

 地震が起きたのは10月、農作物の収穫期でした。避難所の生活では、収穫したばかりの米や農作物をもち寄って、みんなで助け合って炊き出しを行いました。避難所生活が終わると聞いてほっとしつつ「この経験を役立てたい」と、集落のおかあさんたちが一致団結。大地の芸術祭で空家になっていたこの家を作品展示の場として再生しつつ、おかあさんたちに依頼し、食事処をオープンさせたのだとか。

左:築90年を超える古民家。囲炉裏を囲んだり、奥の座敷で食事をしたり。
右:妻有ポークの味噌焼き。付け合わせや副菜もすべて集落のおかあさんたちの手作り。器は有名な陶芸家の作品。

 もちろん、空家や廃校の再生プロジェクトだけでなく、この里山の景色を活かした作品も数多くあります。

左:「光の館」。豪雪地帯のため、床を高く設計しています。こちらの施設は宿泊も可能。
右:天井がスライド。天井から光が降り注いでくるのを感じる。

 光のアーティストといわれるジェームズ・タレル氏による作品「光の館」は、「瞑想の館」をテーマにつくられた日本家屋。和室の一室に入ると「寝転がってください」と指示があり、しばらくするとなんと天井がスライドして窓が開いて、青い空がぽっかり! しばらく寝転がってぼ~っと眺めていると、雲がゆっくり流れていき時間がたつのを忘れてしまいそうでした。

左:行武治美の「再構築」(2006年)。手作業で切りだされた丸い鏡で覆われた家。
右:内海昭子の「たくさんの失われた窓のために」(2006年)。窓に切り取られることで自然の美しさを再認識。

 1日目のプログラム、最後は「十日町産業文化発信館 いこて」で伝統芸能を堪能しました。

2階のコミュニティースペースで鑑賞。施設の名前「いこて」は、十日町の方言「行こうよ=いこうて」と「良い=いいこって」のふたつの言葉を組み合わせたネーミング。(作家:手塚貴晴+由比)
鑑賞のあといただいた、地元のおかあさんたちが作ってくれたお惣菜。踊り手さんや、おかあさんとの会話も楽しかった!

2016.09.28(水)
文・撮影=CREA WEB編集室