3年に一度のトリエンナーレとして、新潟県で開催しているアートイベント「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。日本有数の豪雪地帯といわれる新潟の里山の風景に点在する、世界の著名なアーティストによる作品の数々は、本祭となる2018年のトリエンナーレを待たずしても、楽しむことができるのです。

ジミー・リャオの「Kiss & Goodbye」(2015年)は、無人駅のJR飯山線土市駅前の広場に展示。

 誰にも邪魔されず、アートに没頭。しかも都会の喧騒から離れて、その土地のおいしいものに舌鼓……これこそ、理想の週末の過ごし方! そんな気ままな旅がかなう行き先が、東京から約2時間で行ける新潟県の里山にあります。

アート三昧の休日が過ごせるツアーが便利!

土市駅前のメルヘンな風景。

 新潟県十日町市から津南町にかけての、緑深い山間の集落を含む一帯を越後妻有と呼び、そこは東京23区よりも広さがあります。このエリアで2000年に「大地の芸術祭」がスタートしました。

旧赤倉小学校の校庭。

 3年に一度の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」ですが、前回、2015年の会期中にこの里山を訪れた人はのべ約51万人! 回を追うごとに注目度が高まっています。次回の開催は2018年ですが、通年で展示されているアート作品があり、季節のイベントも開催。トリエンナーレを待たなくても、年間を通じて里山アートが楽しめます。

越後妻有の日常風景。丸い屋根の建物は、通称「かまぼこ型倉庫」。積もった雪が屋根から滑り落ちる雪国ならではのフォルム。

 とはいえ、この越後妻有で見学できる作品の数は約200点、車がないと行けそうにない山間の集落にもアートスポットが点在しています。車を持たない人は、これを聞いただけでもう、「誰か、連れてって~」という気分になりそう。さらに、せっかくの新潟旅だから、おいしいお米も食べたいし、温泉にだって入りたい! となると、あきらめざるを得ない、週末のアートがテーマの旅……。

田島征三「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」(2009年)。床に植物が植えられた理科室。こんな理科室があったら絶対楽しい!

 と思っていたら、ありました! これらすべてのワガママがかなうアートツアーなるものが。春夏秋冬、それぞれのシーズンごとに期間限定でツアーを開催しています。そこでさっそく、2016年の「里山の声をきく 夏の越後妻有おもてなしツアー」に参加してみました。

 スケジュール表を見ると、ツアーの集合は午前9時50分に十日町駅。時刻表を調べると、東京駅発は7時48分。思ったより断然、近い!

 十日町駅前に待機している大型バスに乗り込んで、さっそくツアーがスタートです。

ジミー・リャオ「Kiss & Goodbye」(2015年)。絵本の中の世界を再現。

2016.09.28(水)
文・撮影=CREA WEB編集室