今月のテーマ「オカン系男子」

【MAN】
男1人に女5人でハウスシェア
謎すぎるブラックコメディー

 設定は、極端にミステリアス。普通なら同居しそうもない6人が、ひとつ屋根の下でそれなりに楽しそうに暮らしているのだ。朝から夕方にかけて、起きて出かける人がいたり、二度寝する人がいたりと、マイペースな女性同居人たちの朝ごはんやおめざのドリンクを、家主の道間は甲斐甲斐しく用意する。

 この家のルールのひとつに、夕食は6人揃って19時ごろに食べるというのがあるが、支度をするのも後かたづけも道間の役目だ。ハーレム的状況に浮かれもせず、世話する道間の様子を見ていると、なんだかんだ言いながら面倒見がよくてついでに苦労も背負ってしまうオカン体質の匂いがぷんぷんする。

 女性たちの事情も本音も現段階ではまったくわからない。だが、天涯孤独に限りなく近い道間にとって、やりたい放題の女たちは、わがままを言い合える家族みたいな存在にも思えて、案外、手がかかることがうれしいのかもしれないな。

『100万円の女たち』(既刊1巻) 青野春秋

31歳の売れない小説家・道間慎は、17歳から30歳までの年齢も職業も違う5人の女性たちと一軒家で同居中。女たちは、死刑囚の父を持つ道間の複雑な事情を淡々と受け止め、彼に、家賃として毎月100万円を渡している。計500万!? 異様な状況の謎は次第に解けていくのか?
小学館 552円
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2016.06.06(月)
文=三浦天紗子

CREA 2016年6月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

だらだらリラックスのすすめ。

CREA 2016年6月号

がんばりたくない人のための
だらだらリラックスのすすめ。

定価780円