【WOMAN】
最後の1人になってしまう女の子
あちら側で普通に暮らす男の子
プラトニック・ラブ。肉体の交歓を伴わない、純愛。その概念が、SF的シチュエーションの下で大きく花開いた。
2055年、花井沢町はシェルター技術の開発事故により、見えないバリアによって外界から隔離された。無機物はOKだが、生命反応のある有機体は「誰も出られず、誰も入れない」。その街に暮らす人々のドラマを、一話完結の連作方式で描き出していく。時間軸を前に後ろに変化させながら何度も再登場するのが、こちら側の希と、あちら側にいる総一郎のカップルだ。
デートは主に、境界線上にあるベンチにて。見えない膜越しに寄り添い、ほっぺをくっつけて、わずかに伝わってくる相手のぬくもりを感じる。キスすることや、抱きしめることは叶わない。そんな恋は、すぐにやめたほうがいいと周囲は言う。いつか必ず、つらい別れがやって来るから。でも……。こんなにも強く、悲しく、こんなにも応援したくなる恋を、他に知らない。
『花井沢町公民館便り』(既刊1~2巻) ヤマシタトモコ
見えないシェルターによって外界から隔絶された花井沢町の住人たちが、暮らしぶりを報告していく。1巻の冒頭に登場した希と総一郎のカップルは、年齢を変えて何度も再登場。2巻の帯文は「生きてる限り、わたしとあなたは結ばれない」。「アフタヌーン」連載中。
講談社 590円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2016.05.05(木)
文=吉田大助