この曲を聴いて頭に浮かぶ妄想とは?

山口 さて、前回に続いて、秋元康作品からどんな「妄想」が浮かびましたか?

伊藤 おじいちゃんの葬式のあと、親せきのだれかが、酒とカラオケが大好きだったおじいちゃんを弔うには酒とカラオケだと言い出して宴会が始まった。この家には黒くて大きいホームカラオケというものがある。最初はおじいちゃんの好きだった演歌を次々に歌っていたけれど、みんな酔っぱらって自分の十八番を歌いだした。

 父は若い頃、おじいちゃんに勘当されたことがあると母親からきいたことがある。おじいちゃんの反対を押し切り、夢を追いかけて東京にいき、そして母と一緒になってここへ帰ってきたんだそうだ。そして、おじいちゃんに頭をさげて跡を継いだらしい。

 そんな父も、いまでは町でも一番の職人で頑固おやじだ。そんな父が、じゃあオレもひとつ歌ってやるか! といって「ロクデナシ」という歌をうたった。酔っぱらっていたし、けっして上手いといえる歌じゃないんだけど、“死んじまえ”とか“ヒットラー”とか“劣等生”とか“はみ出し者”とか、今まで父の口から聞いたことない言葉があふれだし、僕は面食らった。そして何よりも驚いたのは、そんな父が歌いながら涙を流していたこと。父がロクデナシだったころ、そんな父に恋した母、想像したらなんだかくすぐったい気持ちになった。

山口 先日、僕が企画監修しているネットラジオ番組「TOKYO TECH STREET」(外部サイト)に、伊藤さんにゲスト出演してもらった時に、妄想分析をパーソナリティの坪井安奈に朗読してもらったのですが、面白かったですね。2周年イベント以来の「美女朗読」でした。「妄想分析」について解説したら、安奈ちゃんが、伊藤さんの営為はワインのソムリエと同じだと見抜いていたのは、驚きました。慧眼でしたね。

伊藤 ですね。まさに妄想分析を始めるときに言っていたことです。当時、ワインとかソムリエの本を読んでいて、歌詞もこんな風に表現できたらいいのになって思ったんですよね。

山口 「TOKYO TECH STREET」は「国際都市TOKYOの音楽×ITの旬を伝える」というコンセプトで月曜から木曜の22~23時にRAKUTEN FMのプラットフォームを使ってインターネット放送しています。PC、スマホなどで、簡単に無料で聞けます。nana、クレオフーガ、Lumit、TuneCore Japanなどの音楽系ITベンチャーのサービスとコラボした企画で、月曜日は、坪井安奈と僕がパーソナリティを務めています。伊藤さんには月一でゲストをお願いする予定です。毎週、1週間はアーカイブで聞けるようになっているので、本コラムの読者も聞いてみてください。

伊藤 オレがゲストの時は、山口さんが普段より毒っけがあるってディレクターさんが言っていました(笑)。

欅坂46「サイレントマジョリティー」
ソニー・ミュージックレコーズ 2016年4月6日発売
初回仕様限定盤TYPE A・B・C[CD+DVD]1,528円、通常盤[CD]972円(税抜)
■欅坂46は、2015年8月21日、乃木坂46結成から4年後の同じ日、同じ場所で結成されたアイドルグループ。応募総数22509名の中から選ばれた1期生20名が参加したデビューシングルが本作となる。レギュラーの冠番組「欅って、書けない?」は、テレビ東京において日曜深夜24時35分から放送中。
■「サイレントマジョリティー」作詞/秋元康 作曲/バグベア 編曲/久下真音
■オフィシャルサイトURL http://www.keyakizaka46.com/

【動画サイト】
「サイレントマジョリティー」

URL https://www.youtube.com/watch?v=DeGkiItB9d8

2016.03.30(水)
文=山口哲一、伊藤涼