気まずそうに口を開いたOB

「……やば、めっちゃ怖いじゃないですか!」

 大学OBのSさんが語ったこの恐ろしい話に、集まったメンバーは大盛り上がり。怪談収集が趣味のFさんも内心ガッツポーズをしたそうです。以来、この話はFさんの鉄板ネタとなりました。

◆◆◆

 それから数カ月後。

 Fさんはサークルの合同飲み会に足を運んだ折に、隣になった別サークルのOBにこの話を披露したことがありました。

 ですが、終盤になるにつれてそのOBの表情が曇っていくのです。そしてFさんが語り終えると、彼は気まずそうに口を開きました。

「あのさぁ……その話、実は知っているんだよねぇ。というのも、その家に実際に行ったOって奴と知り合いでさ……」

 突然の展開にむしろその場は盛り上がり、Fさんは興奮気味に詳細をねだりました。しかし、彼から聞かされたのは予想外の内容だったのです。

「家財道具を運び出すバイトって言っていたじゃん。でも、実際は、ゴミ屋敷みたいになっちゃっていた家に1人で暮らしていたSの親戚の女性が、救急搬送された後に亡くなっちゃったことがあって、その人が病院にいる間にSが仲間集めて空き巣をやったらしいんだわ。俺も最初は違う話かなって思ったけど、だいぶ似ているし……」

 あの日、Sさんたちは金目の物を探して1階奥の部屋に忍び込みました。

 そして、あらかた探し終わり、『次は2階だな』と移動しようとしたとき、あの“すとん”という襖が開く音がしたというのです。

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