膨大な量のセリフを覚えるコツとは……?
――いつもすごいなと思うのですが、大量のセリフを覚えるのにコツはあるんですか?
舞台をやっていてそう言われることは多いのですが、褒められるのはすごく嬉しい(笑)。でも、やれと言われたら、誰でも絶対にできますし、覚えられますよ。僕に特殊な能力があるわけでは全然なくて、やらなきゃいけないからやるしかない。稽古も1カ月ぐらいあるから、ずっと繰り返し喋ってればいつか覚えられる。しかも、実は初日とかは意外とみんな間違えてますからね。
「ハリー・ポッター」の時も、最初の1週間より、演じ終えて1カ月経った今の方が、多分セリフの精度が上だと思います。実は昨日散歩しながらちょっとハリー・ポッターのセリフを喋ってみたら、まあまあまだ覚えているんですよ。面白いですよね。でも、あんまりそうやって覚えすぎちゃうのも危険なんですけどね。音で覚えているというか、もう舌が形状記憶してるみたいな感じ。
僕は朝、散歩しながらセリフを覚えています。それがすごく頭に入るんですよね。携帯とかで台本を写真に撮って、それを見ながら歩いて覚える。家だと好きなことしちゃったり、猫に邪魔されたりするから。いつも台本は猫に噛まれてボロボロですよ(笑)。
面白いのは、寝る前に全然セリフが覚えられてないと思っていても、寝るとその間に脳が整理されていて、朝起きた時には入ってたりするんですよね。不思議ですよね、なんかパズルが完成していくみたいな感じで。だからセリフを覚えるっていうのは、ちょっとゲーム感覚もあって、僕はそんなに苦じゃないんです。
――ギャリーは人気者として人に囲まれて暮らしつつも、孤独を感じて悩んでもいる。俳優としてそういう部分は通じるところがあるのではないですか?
僕自身はシンプルな人間だから、なんだか嘘ついてるみたいだなと思ったりもします。そんなに思慮深くはないし、眉毛が2センチぐらい上がって生きてるようなところがあるのに、なぜか眉間にしわを寄せてるみたいな役が多いので。人からはそう見えるのか、と。
――眉毛が2センチ上がるって、どういう感じなんですか?
(眉毛に手を当てて、上に引き上げながら)こういう、なんか穏やかに、考えすぎない感じ。舞台だと眉間にしわを寄せないといけない苦悩を演じることが多い。そもそも、主人公が苦悩するから悲劇だって喜劇だって、面白いんじゃないですか。だから、苦悩がちゃんと似合う人間でないといけないのかなとも思うし、でも実際に考えすぎる繊細な人間だったら、できない職業かもしれないですよね。
いいのか悪いのかわからないですけど、僕は客観的なところがあって、冷めた自分がいないといけないと思っている。でも熱くなって無我夢中な人に、見る人は心を奪われるじゃないですか。来世ではそういう俳優になりますよ(笑)。










