翻訳物のストレートプレイに挑戦したかった

――先日まで演じられていた大人になったハリー・ポッター(舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」)もとても吾郎さんに似合っていましたが、今回の喜劇俳優ギャリーもまるで当て書きのようです。「ガウンを17枚持っている」というセリフとか、まさにパブリックイメージの吾郎さんですよ。

 あのセリフを僕に言わせるところが面白いよね。僕もガウンは着ますけど、さすがに17着は持ってない(笑)。でも、このギャリーという俳優の部屋着にもこだわっているところは見習いたいよねえ。僕もこういう英国式スタイルのファッションへの憧れはもちろんありますし、音楽も好きですし。

――脚本を読んだ時の、率直な感想を教えてください。

 80年以上前にこんな作品を書いて、上演していたという事実に驚かされますよね。初演が1942年、まさに戦時中ですよ。でも、そういう時代だからこそ、コメディという表現が必要とされていたのかもしれない。当時の人たちがどんな思いでこの作品を観ていたのかなと想像するんですけど、実は昔も今もあんまり変わってないのかな、とも感じます。演劇だからこそ、今の時代だと叩かれちゃいそうなことも、コミカルに辛辣に描けるんですよね。

 翻訳物のストレートプレイをやりたい、という思いもあったのでとても楽しみです。今年は舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」を半年ぐらいやっていたので、ちょっとまた気分も変わっていいですね。以前、舞台「VENUS IN FUR」(2013年)をやった時、すごく面白かったんです。演出家とオーディションにやって来た女優による二人芝居で、パワーバランスが徐々に、そして劇的に変化していく物語でした。

 今回もシチュエーション・コメディで、舞台はほぼ同じ場所のまま、登場人物が次々と入れ替わり、スピード感がすごい。ただその分、セリフの量もすごくて、またこのセリフ覚えなきゃいけないのかな、とびっくりしますよね。でも、これを全部覚えている自分が2カ月後にはいるんですよ。

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