走る、走る、走る! 実はきれい好きな豚たち
豚が出荷される頃には、野山となっていた区画も、土しか見えない状態にまで開けた場所になるそう。体重は150kgにまで成長し、その大きさで、ドドドドーッと区画内を自由奔放に走り回る。武藤さんが歩けば、その後を追いかけて走り回る。時折、突進してくることもあり、武藤さんのご家族は骨折したこともあるとか。本当に注意が必要だと教えてくれました。
小さいころに動かずに(動けずに)育った豚は、走った瞬間に足首を骨折してしまうそうで、成体になるまでずっと走り続けているからこそ足腰がしっかりと育ち運動ができる、まさに「走る豚」が、武藤さんの元ではできあがっていきます。
また、豚は厚い脂肪に覆われていて、汗腺がないのだそう。つまり、自分の体温調整を汗で調整できないということで、「豚は体を土につけて自分の体温調整をする」と武藤さん。同時に、「とってもきれい好きな動物でもあるよ」とも。泥んこになりながら走り回る豚たちがきれい好き?と疑問に思いましたが、区画内に窪みがある場所があり、そこには全く糞尿がない場所を見つけました。聞けば、そこは豚たちが身を寄せ合って眠る寝床なのだと言います。絶対にそこで糞尿をしないとか。
人間から見たら泥は汚れかもしれませんが、豚にとっては体温を調整するものであり、ミネラルを補給するもの。生き物と関わる仕事において、人間の目線で何もかも判断してしまわないことは本当に重要だと教えてもらいました。そこでふと思ったのは、ケージ飼された豚たちのこと。彼らは、自分の糞尿の傍で眠らざるを得ないのです。
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- 文=相馬夕輝(Table to Farm)
写真=Ayumi Mineoka - keyword










