笑いって、やっぱり人を救うものだと思うんです。
――ところで、笑いを届けることの意味についても、この作品の大きなテーマだったかと思います。最後に、笑いに対する思いをお聞かせ下さい。
森下 笑いって、やっぱり人を救うものだと思うんです。蔦重がずっと追いかけてきたのは、人を笑わせること、楽しませること。それはどんなに辛い時代でも、人々に希望を与えるものだったんじゃないかなと。この作品においては、天明の大飢饉があって、打ちこわしがあって、本当に大変な時代だった。でもそういう時代だからこそ、笑いが必要だった。源内が言った「書をもって世を耕し、この日の本をもっともっと豊かな国にするんだよ」という言葉が、ずっとこの物語の底に流れています。蔦重はそれを受け継いで、黄表紙や洒落本で人を笑わせようとした。それは単なる娯楽じゃなくて、人を生かす力だったんじゃないかなと思います。
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