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【大奥展】冨永愛さんインタビュー
特別展「江戸☆大奥」レポート

現在、東京・上野の東京国立博物館 平成館で開催中の特別展「江戸☆大奥」。大奥で生きた女性たちが実際に使用していた着物や調度品をはじめ、貴重な作品を通して、大奥の真実に迫る、注目の展覧会だ。
音声ガイドナビゲーターを務めるのは、2023年放映のNHKドラマ10『大奥』で八代将軍吉宗、現在放映中のNHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では大奥総取締・高岳(たかおか)を演じる冨永 愛さん。
歴史小説が好きで、ドラマへの出演をきっかけに改めて江戸時代や大奥の歴史について学んだという冨永さんに、展覧会の見どころについて話を聞いた。
親戚の私物を見るような気持ちで楽しみました(笑)
――さっそくですが、特別展「江戸☆大奥」をご覧になって、いかがでしたか?
冨永 愛さん(以下敬称略) 圧巻でしたね。とくに私は大奥が登場する2つのドラマに出演していることもあって、より身近に感じられたというか……。「あっ、瀧山の日記」とか、「こっちは絵島の打掛だ」とか、親戚の私物を見るような気持ちで楽しませてもらいました(笑)。
――とくに印象に残っている作品はありますか?

冨永 まさにこの場所(第4章「四季の装い」)です。入り口からこちらに向かって歩いてきて、着物が並ぶ様子が目に入った瞬間に圧倒されました。すごくインパクトがありますよね。大奥で生きた女性たちの身長を思い浮かべたり、この着物を着て日常を過ごしていたんだなと想像したりしながら観ていました。
――本当に華やかで、惹きつけられますね。ほかにも、冨永さんがおすすめしたいポイントはありますか?

冨永 第1章、展示会場に入ってすぐの場所に展示されているNHKドラマ10『大奥』で実際に使われた衣装です。衣装だけでなく、襖絵や御鈴廊下の戸も実際に使われたセットがそのまま使われているんですよ。ドラマをご覧になった方には、こちらも楽しんでいただけると思います。
――襖絵も意匠が凝らされていて素敵でした。ところで、冨永さんは身長が高いので、着物をあつらえるときに大変なのでは? と思うのですが……。
冨永 普段は男性用の反物で仕立てているのですが、展示している衣装は海外から取り寄せて仕立てたと聞いています。襖絵などのセットや、調度品一つをとっても、いろいろな文献や資料を参考にしながら、作られているんですよ。
――今回、音声ガイドナビゲーションを収録される際に意識されていたことはありますか?
冨永 音声ガイドのナレーションは、個性を出す場ではないと思っていて。皆さんが鑑賞されている時間を邪魔しないように、なるべくフラットに話すことを意識していました。ご覧になる方はきっと、作品に集中されていると思うので、心地よく耳に届いていたら嬉しいですね。
2025.08.09(土)
文=河西みのり
撮影=平松市聖