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 世界的トップモデルで、俳優としての活躍も著しい冨永愛さんが、初めて自身の生き方について語ったエッセイ『冨永 愛 新・幸福論 生きたいように生きる』を上梓されました。

 すっぴんでカバー撮影に挑んだ冨永さんにインタビュー。新エッセイへの想いをお聞きしました。(全2回の前篇。後篇を読む


すっぴんは本当に最後(笑)

――新刊のカバー写真は、ノーメイクで撮影されたのですね。

 はい。今回の書籍に合わせて、すっぴんで撮影しました。

 今回のエッセイでは、はじめて自分の生き方について語りました。自分自身をさらけ出した内容になっているので、メイクをしない素の私を出すことで、「ありのまま」感がよりリアルに表現できるんじゃないかと考え、すっぴんで撮影に挑みました。

 最終的にはやってよかったと思っていますが、デビュー当時、1回だけすっぴんで人前に出て以来だったので、裸になったくらい恥ずかしかったです。だから、この先、すっぴんになることは二度とないと思います。これが本当に最後です(笑)。

――「ありのままのご自分を撮影してもらう」というのは、どのような経験でしたか?

 普段、私がモデルとしてしている撮影とは向き合い方が全く異なるので、難しかったです。

 これがファッション誌の撮影だと、洋服やデザイナーのストーリーやイメージがあって、私たちモデルはそれを表現するわけです。でも、本書のカバー撮影では、「冨永愛」を表現することが求められました。「自分自身のままで」と言われても、どうあるのが私らしいのかがよく分からなくて、そこは苦労しました。

 これは、書籍の中身についても同じです。今の私ってどんなだろうと、自分と向き合いながら、ありのままの自分を書き出す作業は、難しかったし大変でした。

――なぜいまご自分をさらけ出そうと思われたのですか? 本書発行のきっかけがあれば教えてください。

 それは「“今”の冨永愛が面白い」と、出版社の方が思って提案してくださったから、ということに尽きます。

 すごく客観的にいうと、出産と子育てのための休業を経て、30代後半でモデルとしてパリコレのランウェイに復帰。チャリティや社会貢献活動にも長く携わり、昨年は40歳でパリのオートクチュールのショーにも参加して、自分の会社も立ち上げた――。そんな「今」の冨永愛が、コンプレックスを乗り越えて幸せをつかむために心がけてきたことを本にしたいのだと、熱くお声をかけていただいたことに心が動いたからです。

2024.07.18(木)
文=相澤洋美
写真=平松市聖
スタイリスト=仙波レナ
ヘアメイク=Haruka Tazaki