この記事の連載
【大奥展】冨永愛さんインタビュー
特別展「江戸☆大奥」レポート
江戸時代の女性の生きざまを知ることは、日本人がこの先を生きるヒントに

――時代劇への出演は江戸時代の価値観に触れるきっかけにもなったと思うのですが、江戸を生きた女性たちに対してどんな印象をお持ちですか?
冨永 江戸時代のなかでも、豪華絢爛な時代もあれば、質素倹約令が出されていた時代もあったり、年代によってさまざまだと思います。でも、今とあんまり変わらなかったんじゃないかな。現代のように、ジェンダーの問題が取りざたされることはなかったと思いますけど、江戸時代の女性もきっと色々なことと戦っていた。そんな気質だったんじゃないかなと思うんです。
――時代劇に出演されたことで、何か価値観などに変化はありましたか?
冨永 歴史を一から勉強し直したこともあって、より身近に感じられるようになりましたね。今までは「教科書のなかの話」でしかなかったけれども、より深く入っていけるというか……。だからこそ、(江戸時代の女性と現代の女性は)あんまり変わらないと思うのかもしれません。
――よくよく考えてみると、江戸時代って意外と最近なんですよね(※1867年に大政奉還されてから、2025年で158年目)。
冨永 そうなんです、鎖国が明けてからそんなに時間が経っていないんですよね。そう考えると、江戸時代の方が西洋よりも身近に感じられるかもしれません。
――ちなみに、江戸時代の長い歴史のなかで、どの時代がお好きですか?
冨永 今となっては、やっぱり吉宗の時代がいちばん好きですね。いちばん詳しいし、ドラマでは世を治めていたし(笑)。
――改めて、今回の「江戸☆大奥」、どんな人に観てほしいですか?
冨永 老若男女、すべての人に観てほしいですね。ここまで「大奥」に特化した展覧会は本当に珍しいと思います。ひとつの空間にこれだけたくさんの作品が集められていることも本当にすごいことですし、一つひとつじっくり観ていくと歴史の勉強にもなります。
あとは……まぁ、やっぱり、この時代はお金の使い方が半端ないなぁ、とも思って(笑)。今よりも金がたくさんあった時代でしょうし、現代ではできないような高度な技術が施された作品ばかりなので、お好きな方はぜひルーペ持参での鑑賞をおすすめします。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
冨永 昨今、「女性の生き方」について多くの議論がされていて、揺れている時代だと思います。そんななかで、展覧会を通して大奥の世界にふれ、この時代の女性たちが何を想い、その生きざまを知ることは、女性だけじゃなく、私たち日本人がこれからを生きていく上で何かヒントになるのではないでしょうか。だからこそ、いま、この時に特別展「江戸☆大奥」が開催されたのかもしれませんね。
特別展「江戸☆大奥」
会期 開催中~9月21日(日)
※会期中、展示替えあり
前期:7月19日~8月17日
後期:8月19日~9月21日
休館日 月曜日(ただし、8月11日、9月15日は開館)
会場 東京国立博物館 平成館
住所 東京都台東区上野公園13-9
開館時間 9:30~17:00(金・土曜、8月10日、9月14日は9:30~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
主催 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション
特別協力 公益財団法人 德川記念財団
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://ooku2025.jp/
冨永 愛(とみなが・あい)
17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題になる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルのほかテレビやラジオ、イベント、俳優などさまざまな分野にも精力的に挑戦。俳優としては、2019 年放送のTBS日曜劇場『グランメゾン東京』をはじめ、 2023年に放送されたドラマ10『大奥』では徳川吉宗役を務め注目を集める。2025年には大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に大奥総取締 高岳役として出演。日本人として唯一無二のキャリアをもつスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。

2025.08.09(土)
文=河西みのり
撮影=平松市聖