社会人カップルの勝男と鮎美。大学時代から続いた交際は6年目を迎えようとしていたが、「料理は女が作って当たり前」と思っている勝男に対し、“恋人ファースト”を演じ続けた鮎美は次第に自分を見失ってしまい、プロポーズ直後に別れてしまう――。
料理を作るというきっかけを通じて、“当たり前”と思っていたものを見つめ直す2人の成長と再生を描いた『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(谷口菜津子、ぶんか社)。TBS系でドラマ化され、夏帆と竹内涼真が主演を務める本作は、第3話が「TVer」「TBS FREE」の無料配信再生数で442万回を突破し、同局のドラマとしては『VIVANT』を超える各話の歴代1位を記録した。
そんな話題作は、どのようにして生まれたのか? 原作漫画の担当編集者・ゴトウさんに話を聞いた。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』タイトルの由来は?
作品が生まれたきっかけについて、ゴトウさんは「私が元々、谷口菜津子先生のファンだったんです。お仕事をご一緒してみたいと思い、ご連絡し、打ち合わせを何度かさせていただきました」と振り返る。
「その後、勝男と鮎美を主人公にしたプロットをいただき、面白い! と思ったところが『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の始まりでした」
気になるのが、一度聞いたら忘れられないパンチのあるタイトルの由来だ。
「最初は僕と谷口先生でいろいろと考えていたのですが、どれもしっくり来ず……。
その後、ラランド・ニシダさんのラジオでのトークや、SNSでの『ポテサラ論争』(=*2020年、総菜コーナーでポテトサラダを買おうとした女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ」と言われるのを目撃した、というSNSの投稿が話題になった)などをきっかけにストーリーのイメージが膨らんでいく中で、『じゃあ、お前が筑前煮作れよ』『じゃあ、あんたが作ってみろよ』『今日のおかず全部茶色いね』の3案をいただいて、僕も先生も気に入った『じゃあ、あんたが作ってみろよ』に決まりました」
勝男はなぜ大分出身? 「さす九」狙ったわけではなく…
第1話に登場する「全体的におかずが茶色すぎるかな?」をはじめ、キャラクターのセリフひとつひとつの鋭さが光る本作。勝男が生まれた経緯については、「担当編集者が男性だったことから、『男性キャラにしましょう』となり、『勝男』が生まれました」とゴトウさんは明かす。
「料理は女性が作るもの」という勝男の価値観について、SNSなどでは「『さす九』(=九州に根づくとされる男尊女卑の傾向を揶揄する「さすが九州」の略語として拡散されたインターネットスラング)を狙ったのでは」という感想も見られるが……。
