フランスで驚いた現場のルール

 映像業界における女性の問題が少しずつ改善されていく中で、さらに女性が活躍するには何ができるのかという質問が投げかけられると、「2018年、フランスで映画作りを行っていた際に驚いたのが、撮影時間は8時間まで、土日は休み、というルールが定まっていたことです。カルチャーショックと言える衝撃でした。その現場には、女性や子育て中の方も多くて……。社会保障がしっかりしていることで、女性でもキャリアを続けることができるんです。日本では、生活を犠牲にせざるを得ないことがあまりに長く続いてきました。今、そんな日本でもルールが設けられるようになったりと、変わろうとしている中にいます。意識をアクションに変えていく最中です」と、世界の現場を知る福間ならではのリアルな声も。

 そんな現場の最前線に立つ高畑は出産を控えている。「当事者としても、転換期を迎えていると感じています。子育てをしていく中で、『もっとこうだったらいいのに』と思うことが増えていくのかもしれません。そうなったら、我慢せずに声に出していくことで、働きやすい環境作りに貢献できたら嬉しいです」と、母として、俳優として、真摯に仕事に向き合う姿勢を見せた。

 中島は「まずは食事の時間をしっかり作るとか、ファミリーデーを設けてみるとか、少しの変化が現場を充実させていくきっかけになると思います。みんながそれに気づき始めているので、時代の真ん中にいる一人の映画人として、推奨していけたら良いなと思います」と、これからの未来へと想いを託すとともに、行動を起こしていくことの大切さを明かした。

 最後に、ゼインは「期待以上に多くのことを学べたイベントでした。皆さんにとっても、たくさんの発見があったら嬉しいです」とコメント。福間も「とても新鮮でした。どんな人でも、映画を愛し、支えてくれる人みんなが声に出していいんだと思ってくれる機会になったと思います」と手応えを実感した様子。

 高畑は「こういう経験はあまりないのでドキドキしましたが、色んな人の意見をきけて面白かったです。明るい未来が見える気がして嬉しいです」と笑顔に。中島も「時代を変えることに少しずつ尽力していきたいです。改めて、第98回アカデミー賞®でのキャスティング賞創設を祝福します」と述べ、登壇者らの力強いメッセージが多くの人に送られたイベントは、大盛況の中幕を閉じた。


  ケリング「ウーマン・イン・モーション」が創設10周年を迎える節目の年に、国内外、そして性別を問わず多くの著名人からの賛同を受け、本イベントが実現したことは大きな飛躍であると言えるだろう。光を絶やすことなく、一人一人がアクションを起こし続けたい。