かなり“気にしい”な性格なので……
かれん もちろん、そんな風には読まなかったです(笑)。私はむしろ、このお話の中の「友達」という言葉に考えさせられました。
作中に、 “自分以外の誰かと一つの物事を同じ目線で見つけることができる時間というのは、すごく貴重なのかもしれない。もしかしたらそれが、友情と呼べる時間なのかもしれない”っていう文章があって。
最近、アイドル活動をしていて「友達ってなんやろな」って考えることがあったんですが、この文章を読んで、カラフルスクリームのメンバーがそうなのかもしれないって思いました。まさに同じ目線で、同じ経験をしているわけなので。それまでの私は、メンバーは仕事仲間であって、友達ではないと言い聞かせているところがあったんですが、「友達」って呼んでもいいんじゃないかなって。ちょっと嬉しくなりました。
朝井 すごい。この本から現役アイドルの方が語る感想の最適解が、まさに今叩き出されたと思います。カラフルスクリームの今の8人の方々って、個性はバラバラなのにまとまりがあって、とても素敵ですよね。キャラもタイプも全員違う感じがします。
かれん そうですね、「誰が見てもメンバーの誰かを好きになるだろう」みたいな感じです!(笑) あとは、「視野の広い/狭い」についてずっと扱っていたのも印象に残っています。
朝井 視野は、本作のキーワードの一つですね。
かれん 私自身、かなり「気にしい」な部分があるんですよね。周りにどう思われているかが気になって、行動が起こせないときがあるんです。今回の『そして誰もゆとらなくなった』のバズでも「著者紹介で笑い取ってくるのズルい」というポストをする前に、辞書で「ズルい」という言葉の意味を調べました。
——そうだったんですか!?
かれん 「すごい悪い意味だったらどうしよう」って思って(笑)。そしたら、「ズルい」という言葉にはもちろん「卑怯」という意味もあるけど、「才能を羨ましく思う」という意味もあったんです。「じゃあ、私はこっちの意味で使おう」と思って、ポストした上で、リプで「ズルい」の言葉の意味を解説しました(笑)。
朝井 脊髄反射でSNSに言葉を投稿する人も多い中、本当に素晴らしい姿勢ですよ……。
かれん みんなから悪く思われたくない、っていうのが原動力なんですけどね(笑)。こんな一面があるので、なるべく視野を広くもっていたいと思っているんですが、そうすると行動を起こせないときがある。作中でも、視野が狭いファンの方が、ものすごい行動力を出している話がありましたよね。「視野が広いからいいわけじゃない」というのが、この本を読んだ後で自分の中で変わった部分です。
朝井 さっき、私はなかなか行動原理が変わらないと申し上げましたけれど、それはやっぱり私も視野を広く持ちたい、もっと言うと失敗したくないタイプだからだと思います。準備過多な気質をもっと手放してみたいんだけど、でもそんな用心深さに助けられてきた面も大いにあるので、難しいんですよね。
