宮藤さんの作品は絶対に面白いから、ほっとする

――舞台に立つ際に、大切にされているルーティンはありますか? 映像作品の現場に入るときとはまた違うのでしょうか?

 舞台は時間がきっちり決まっているから、すごくやりやすいですよね。公演期間も決まっているし、スケジュールが立てやすい。「本番がこの時間から始まるから、準備体操はこのタイミングで始めよう」みたいに考えられる。決まった時間に食事もとれるし、舞台のほうが健康的かもしれないです。とはいえ上演期間長いので、体調を崩さないように加湿器は愛用してます。

――ロックオペラとなると声を張ることも多いでしょうから、喉のケアは大切ですね。

 森山直太朗くんから聞いたんですが、喉から声を出そうとせず、背中から出すようにイメージするのがいいらしいんですよね。背中から声なんて出るわけないじゃないですか、でも意識することが重要なんですって。

――長年ご一緒されている宮藤官九郎さんの作品に出演することは、やはり他の作品とは違った特別な感覚がありますか?

 うーん。特に違いがないからラクというか。宮藤さんの作品は絶対に面白いから「次は宮藤さんのか、よかった」みたいに、とてもほっとする感覚があります。でも宮藤さんと一緒にやっているバンドはまた別。バンドはリハーサルがあるからちょっと大変なんですよね(笑)。それにセリフは覚えられるんですが、歌詞は覚えられなくて。不思議ですよね。

阿部サダヲ(あべ・さだを)

1970年、千葉県生まれ。1992年より大人計画に参加。舞台『冬の皮』でデビュー。22年にNODA・MAP番外公演『THE BEE』にて読売演劇大賞優秀男優賞、25年にドラマ『不適切にもほどがある!』にて芸術選奨文部科学大臣賞放送部門受賞。また、パンクコントバンド「グループ魂」ではボーカルを務める。12月26日にはLINE CUBE SHIBUYAにてワンマンライブを開催。

大パルコ人5オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』

離婚を決意しているミュージカル俳優(阿部サダヲ)と演歌歌手(松たか子)の夫婦。二人は長男(峯田和伸)の親権を巡り、法廷で泥沼の争いを繰り広げます。兄は発達障害がある、だが天才音楽家……かもしれない――。その可能性を信じて疑わない夫婦が、あの手この手で世間の同情を買おうとしたり、過去の恥部や醜聞に乗じて好感度を上げたり下げたりします。子供に過度の期待をする両親の間で、その重圧を感じながら成長していく兄と天真爛漫な弟(黒崎煌代)。この家族の未来はどこに向かっていくのか……

作・演出:宮藤官九郎
音楽:上原子友康(怒髪天)/峯田和伸(銀杏BOYZ)
出演:阿部サダヲ、松たか子、峯田和伸、三宅弘城、荒川良々、黒崎煌代、少路勇介、よーかいくん、中井千聖、宮藤官九郎、藤井隆
https://stage.parco.jp/program/okatai