16年ぶりに大人計画×パルコのロックオペラシリーズに戻ってくる阿部サダヲさん。宮藤官九郎さん作・演出の最新作大パルコ人⑤オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』では、離婚調停を抱えるミュージカル俳優を演じます。かつてはロックスター役で観客を魅了した阿部さんが、今回は松たか子さん演じる演歌歌手と夫婦役で舞台に立つことに。16年の時を経て再び挑むロックオペラへの思いや、宮藤作品ならではのユーモア、そして松さんとの関係性について語ってくれました。


16年ぶりのロックオペラ

――大人計画とPARCO劇場が共同プロデュースする、宮藤官九郎さん作・演出によるオリジナルのロックオペラシリーズ「大パルコ人」。阿部さんが出演するのは、1回目のメカロックオペラ『R2C2~サイボーグなのでバンド辞めます!~』から16年ぶりだそうですね。

 うわ~。16年ぶりか。そう聞くと驚いちゃいますよね。(当時のパンフレットを見ながら)これ見るとみんなめっちゃ若いですね。前回は、ロックスター役で今回はミュージカル俳優役です。

――前回出演された時のことを覚えていらっしゃいますか?

 (松田)龍平くんがロボット役で、髭を剃るように言われているのに、剃らなかったことは覚えてますね。

 宮藤さんと知り合ってすぐに、お互いThe WHOというバンドが好きだという話で盛り上がったんです。また、劇団☆新感線が、ロックミュージカルみたいな公演をされていて、見に行ったんですよね。

 「おぉ、すげぇ! こういうのやりたい!」と。その頃から、宮藤さんとロックオペラみたいなのをやりたいとずっと思っていたので、舞台でやっとこういうことができるんだ、と嬉しかった思い出がありますね。懐かしいなぁ。

――ロックオペラシリーズの最新作は法廷劇とのことですが、台本を手にされたとき、どんな印象を受けましたか?

 台本を見るとすごい量のセリフがぶわーって書いてあるんです。場面の描写などを指示するト書きもないから、僕も全貌はまだよくわかってなくて。多分、宮藤さんの中では、しっかりビジョンが出来上がっているから、あえて書かないってことだと思うんですが。

 なのでどんなことになるのかすごい楽しみですね。僕たちも法廷劇だってことしかまだ把握していないので。(取材当時は)まだ稽古も始まっていないから、どのタイミングで着替えとかするんだろう? とか、演奏はどうするんだろう? とか、わくわくしています。

――書かれているセリフの中に、宮藤さんにしか書けないと感じるようなものはありますか?

 若い方はたぶんわからないと思うんだけど、昔話題になった弁護士みたいなキャラクターとか入れてくるんですよ。なんで今なんでしょうね。弁護士ってことで思い出したのかな。そういうところは宮藤さんならではですよね。

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