恋愛や結婚、そして家族――。これからどんなふうに年を重ねていくのか、自分らしい形を探している山崎怜奈さん。20代後半の今だからこそ見えてきたこれからについて話を聞きました。


20代はもう飽きた

――『まっすぐ生きてきましたが』の中では何度か「恋愛戦線から降りたい」と綴っていらっしゃいます。これは他者から恋愛対象としてみられるのが居心地悪いからですか? または恋愛をするのが当たり前という社会的ムードに納得がいっていないのでしょうか?

 これは自分の職業特有のものだと思うんですけど、誰かに愛情を向けようとすると、どうしても第三者の目や仕事への影響など、いろんなことを考えてしまって疲れてしまうんです。語弊を生みそうな話なので、できれば拙著の本文をお読みいただけるとありがたいのですが、本来は「好きな人と一緒にいたい」という、ただそれだけのシンプルな気持ちのはずなのに、誰かの視線や価値観を気にしすぎてしまう自分への疲れというか、そこまで察知して慮らないといけないのか、とは思うんですが。

――私たちとは比べものにならないくらいたくさんのものを背負っていらっしゃいますもんね。

 気にしすぎかもしれませんが、どうしても、自分はこの社会において「商品」であるという意識が強くあって。性別を問わず友人がいるほうなのですが、異性の友人と会っている姿を勝手に撮られたりして、事実と違うことを書かれてしまったらと思うと、グループで活動していた頃は今以上にどうしても慎重になってしまいました。相手にも迷惑をかけてしまいますしね。大切な人との距離感の取り方をずっと試行錯誤しながら生きています。

――山崎さんがよくおっしゃっている「20代に飽きた」というのにも繋がりますね。

 はい。今の自分の状況も当たり前じゃないし、大切にしていきたいですが、その先にも興味が向いています。この連載の担当編集さんは40代でご出産されたんですが、「今まではとにかく仕事を優先して頑張ってきたけど、今は子育てが超楽しい」とおっしゃっていて。そういう方のお話を聞くと、自分がそのフェーズに入ったらどうなるんだろうとすごく楽しみです。

――では、年を重ねていくのは怖くないですね。

 全く! 早く年齢を重ねて、様々なことを経験していきたいです。結婚も子育ても、思い通りにはいかないし大変なこともあると思いますが、興味はあります。人生の経験を積むことで、社会に対してのまなざしも、発する言葉も変わっていくと思うので。政治や経済、そして教育に対して、自分の視座が広がっていくのも楽しみですね。

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