自家製チーズと絶景が楽しめる話題のおでかけスポット

 浅間連山や八ヶ岳連峰などの山々に囲まれた東御市に、1982年に創業した「アトリエ・ド・フロマージュ」。“日本のブルゴーニュ”とも称される豊かな風土のもと、多種多様なチーズ作りに挑戦し、いずれも高い評価を得てきました。

 なかでもブルーチーズは、2014年のJCAでのグランプリ受賞を皮切りに、国内外の権威ある賞を次々と獲得。さらに2021年には、WCAに出品したブルーチーズの「翡翠」が、世界45ヶ国・4079点の出品作のうち、国内で唯一、最高品質のベスト16に選ばれ、世界にその名を知らしめました。

 ヨーロッパに負けない本格ブルーチーズを目指し、日々研究を重ねているのは、この道18年のチーズ職人・塩川和史さん。アトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズは、無数に空いた小さな穴が特徴で、穴の大きさや数、水分量の調整まで、丁寧な手作業の積み重ねによって、“なめらかですっと溶けるブルー”に仕上げています。

 「うちのブルーチーズは牛乳100%のブルーチーズには珍しく、外皮の口溶けが軽いのが特徴。世界でもその点が高く評価されています」と塩川さん。一般的なブルーチーズは乾燥によって外皮が固くなったり、チーズを包むアルミや錫が食い込んでしまい、皮を取らないと食べられないこともしばしば。ところが、塩川さんが手がける「翡翠」は、製造段階で独自の工夫を施しているため、アルミが付かず、外皮も固くならず、そのまま味わうことができます。一方、「ブルーチーズ」は、製造で極力乳脂肪分を落とさないように調整することで特有の刺激を抑え、甘味と旨味を出し、滑らかな舌触りに仕上げています。

 今年4月には、ショップ&カフェ、レストランを全面リニューアルし、「森のチーズテラス」としてグランドオープン。八ヶ岳を見渡せる絶好のロケーションも魅力で、おでかけ先としても注目のスポットです。

 レストランでは、隣接する工房で作られるチーズを贅沢に使った約40種類のメニューを用意。チーズ好きならずとも心躍る「チーズフォンデュ」をはじめ、サラダやドリア、カレーなど、日常にチーズを取り入れるヒントになる料理が揃います。

 レストランより一段高い丘の上には、ショップとテイクアウト専用のカフェも併設。輝かしい受賞歴を誇るチーズをはじめ、パティスリー工房で作る洋菓子など、チーズをふんだんに使った品が揃います。カフェではぜひ「自家製生チーズソフト」を。濃厚でなめらかなチーズのコクと風味が格別で、チーズのおいしさが口いっぱいに広がります。

アトリエ・ド・フロマージュ 森のチーズテラス

所在地 長野県東御市新張682-2
電話番号 0268-71-6173
営業時間 10:00~17:30(フード15:00L.O.、デザート・ドリンク17:00L.O.)
定休日 木曜
https://www.a-fromage.co.jp/

 チーズをめぐる長野の旅を終えて改めて感じたのは、日本チーズの底力と可能性。11月に開催される「World Cheese Awards2025」での活躍も大いに期待できそうです。

 次のページでは、世界最大級のチーズコンテスト「World Cheese Awards」についても詳しく紹介します。

2025.10.20(月)
取材・文=田辺千菊(Choki!)
撮影=山元茂樹