作り手の興味をそそる俳優になりたい

――劇中、ゼラ役の古川雄輝さんを相手にした大胆なラブシーンもありますが、それを演じるにあたっての戸惑いは? また、積極的に内藤瑛亮監督に意見を出されたようですね。

 僕自身があまり羞恥心のない人間といえば、それまでなんですけれど(笑)、何の抵抗も、恥ずかしさもありませんでした。そこに、ゼラに対する感情も加わりますから、もっとそばに行きたいぐらいの気持ちでしたし、そこにはゼラ役の古川(雄輝)くんの魅力もありましたね。内藤監督とはジャイボの居場所と立ち位置みたいなものについては、かなり話しました。「ジャイボの中では光クラブの一員であるという自覚はない。ただ、ゼラの近くにいたいだけ。それを見せるためには、彼の光クラブとしての共通認識はいらないんじゃないか」という話をしたところ、「ジャイボに対して間宮が思うことは、ジャイボが思うことでもあるから」と、信頼してくれたことも嬉しかったです。

――現在、主演ドラマ「ニーチェ先生」が放送中ですが、今後はどのような俳優を目指したいですか。

 ジャイボと「ニーチェ先生」は全然違う役ですし、有難いことに間宮祥太朗=これ、というイメージがないので、それは継続していきたいです。もちろん、いろんな作品に出たいし、「間宮だったら、この役をどう演じるのか」と、演出家さんや脚本家さん、作り手の興味をそそる俳優になりたい。そして、原田芳雄さんのように男としてカッコいい人になりたいと思います。あと、特に意識をしているのはエズラ・ミラー。彼の演技はスクリーンからこぼれ落ちるぐらい自由さがにじみ出ているんです。彼がジャイボをやっても似合うと思うんですが、逆に彼が主演した『少年は残酷な弓を射る』を日本でやるなら僕しかいないと思っています(笑)。

間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
1993年6月11日生まれ。神奈川県出身。08年、ドラマ「スクラップ・ティーチャー ~教師再生」で俳優デビュー。その後、「水球ヤンキース」「学校のカイダン」などのドラマや、ラインハルト・フォン・ローエングラムを演じた舞台「銀河英雄伝説」で注目される。主演ドラマ「ニーチェ先生」(読売テレビ系)が放送中のほか、映画『高台家の人々』の公開も控える。

『ライチ☆光クラブ』
煙と油にまみれた蛍光町の廃工場に存在する、秘密基地・光クラブ。リーダー、ゼラ(古川雄輝)ら、9人の少年は大人になることを拒絶し、醜い大人に抵抗すべく、最強の力と永遠の美を手にすることになる。だが、ゼラを愛するジャイボ(間宮祥太朗)の暴走を機に亀裂が生じ始める。
(C)2016「ライチ☆光クラブ」製作委員会
2016年2月13日(土)より、新宿バルト9 にて先行ロードショー。2月27日(土)より、全国拡大公開
http://litchi-movie.com/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2016.02.05(金)
文=くれい響
撮影=深野未季