9人の少年たちの青春残酷劇を描いた映画『ライチ☆光クラブ』で、眼帯が特徴的な強烈キャラ・ダフを演じる柾木玲弥(まさきれいや)。独自の感性と類まれな演技力で、個性派路線を爆走中の彼にとって演じることとは?

俳優としての意識が芽生えないうちに、「テニミュ」で俳優デビュー

――2009年「第22回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞したのをきっかけに俳優になった柾木さんですが、コンテストを受けた理由は?

 8歳上の兄がいるんです。よく冗談で「玲弥、応募しちゃいなよ」と言っていた兄夫婦が僕の知らないあいだに応募していたんです。北海道に住んでいたこともあり、芸能界やコンテストといったものとは無縁だと思っていましたし、学校が好きだったこともあって、将来は小学校の先生になりたいと思っていました。特定の教科の先生というよりは、教え子の人生を担う時期にかかわりたい、と思っていたからです。だから、審査員特別賞をいただいても、実は俳優になりたいとも思っていなかったし、僕の知らないあいだに、兄や両親のなかでどんどん話が進んでしまって、時の流れに身を任せるしかないと思っていたら、知らない間に事務所に入っていた感じです。

――翌10年には上京して、本格的に俳優活動を開始されますが、そのときの心境を教えてください。

 北海道にいながら、ときどき東京にオーディションを受けに来ていたのですが、ミュージカル「テニスの王子様」のオーディションに受かったのをきっかけに、高1の秋に東京に出てきました。東京に出てきたとはいえ、「これで役者になるぞ!」と腹を括ったわけじゃなく、右も左も分からず、「受かったんだから、東京に出てきて下さい」と事務所に言われて出てきたんです(笑)。

――「テニミュ」で山吹中の壇太一役を演じられた後も舞台を中心に活動されますが、そのときに経験で学んだことを教えてください。

 「テニミュ」の後にも、いろんな舞台をやらせていただいたことで、「お芝居って、こんなことなんだ」と徐々に分かるようになり、それが「こういう仕事をやっていくのか……」に変わっていきました。「bambino.」という舞台で地方公演をしたとき、ある先輩俳優から「いろんな考えの人がいるけれど、お前がしたい芝居をすればいいだけだ」と言われたんです。それで「この人のような考えを持った俳優になりたい」と思ったことが、今の僕の根本にあるかもしれません。

2016.02.19(金)
文=くれい響
撮影=深野未季