環境から強烈なキャラが作られていった『ライチ☆光クラブ』
――最新出演映画『ライチ☆光クラブ』では、眼帯姿が特徴的な強烈キャラのダフを演じられていますが、ダフ役に決まった時の感想や役作りについて教えてください。
以前から舞台を通じて「ライチ」のことは認識していたので、映画版のオーディションがあると聞いたときに「絶対に受けたい」と思いました。オーディションでは、ジャイボもゼラもやりましたが、最終的にダフで受かったことにどこか納得しました。役作りについては、特に苦労したとは思っていないです。キャストのみなさんも、そうだったと思うんですが、あの衣装を着て、静岡の工場地帯に作られたセットに一歩足を踏み入れただけで、勝手に役が作られていった感じです。すべての部署のスタッフさんの本気によって作られた環境が、役に近づけてくれたということでしょうか。あえて役作りについて言うなら、非現実的な世界観の中で、実写としてリアルに、しかも等身大で演じることが僕たちの役目だと思っていたので、そこは心がけました。
――「エスパー」に続き、目が隠れている特異なキャラで、かなり過激なシーンもありますが、そのあたりについては?
やはり、目が見えないまま演技をするのは、いろいろ想像しながら演技をしなきゃいけないので、どこか苦ですね(笑)。ただ、役者じゃないとやれないことだったり、役者であってもやれないことをやれるのは、「自分しかやっていないんだ」という優越感があって楽しいんです。それに今回は、そういったシーンを気持ちが繋がったまま撮影できたので、最後の最後までやりきった感はハンパなかったですね。
――また、NHKで放送されたドラマを映画化した『LIVE! LOVE! SING! -生きて愛して歌うこと 劇場版』も公開されていますが、こちらの勝役も常にヘッドホンをしている内向的な役ですね。
題材が震災というところで、演技をしたくなかったし、演技をしているものを見てもらいたくなかった。かといって、僕たちキャストは震災を経験しているわけではないから、等身大ではできない。だから、1日18時間ぐらい役でいたと思うし、すべて本心で語られるというか、正直な作品になったと思います。この作品の主役は福島や神戸であって、僕たちは景色の一部にすぎない、とつくづく感じさせられました。
2016.02.19(金)
文=くれい響
撮影=深野未季