自分の中にはどんな役の要素もある

――12年の「高校入試」に始まり、「みんな!エスパーだよ!」「明日の光をつかめ -2013 夏-」などのドラマに出演されていくことで、転機になった作品に出会ったのではないでしょうか?

 それですね。「高校入試」から、いろんなお仕事に繋がったような気がするので、「高校入試」は転機になったと思います。あの頃は経験が浅かったこともあり、周りから言われたことがすべて正しいと思っていて、舞台の世界でやってきたことが正しいと思っていたんです。それで映像の現場に行ったことで、「高校入試」の監督さんからいろいろ学びました。でも、今考えると、それまで映像の仕事をやっていなかったから、やりきれたのかもしれませんね。

――「高校入試」では同世代の高杉真宙さんや清水尋也さんらと共演されていたわけですが、当時ライバル意識のようなものはありましたか?

 その3人のなかでは、僕がいちばん年上だったんですが、お互いに経験が浅かったこともあり、みんな現場では仲がいいだけで、お芝居で刺激し合うという感じではなかったですね。今では、現場で会ったり、作品を観たりすると、どこか刺激のようなものを感じるので、「みんな変わったな」と思いますね。

――15年には映画化もされた「みんな!エスパーだよ!」で演じられた矢部直也は、かなり内気な性格の役でしたが、そういった役を演じることについては?

 僕としてはカッコいい役よりは、断然こういう変態チックな役の方がやりやすいです。自分とはかけ離れているタイプですけれど、自分の中では演技をしているつもりはないですね。感覚としては素のまま。役に近づけるんじゃなくて、役を通して、自分の持っているものを出しているだけのような気がします。たとえば、ヤンキー役だった『ガチバンZ 代理戦争』など、どんなに違った役を演じても、自分の中にはどの役の要素もあると思うんですよ。

2016.02.19(金)
文=くれい響
撮影=深野未季