【WOMAN】
オシャレの川上の住人になる道は、遠く、険しい
ファストファッションが流行り始めた頃から、「そんなにオシャレに血道を上げなくても」という空気が強くなった気がする。ところが、そこそこのオシャレでいいとしても、非オシャレの烙印を押される不名誉は相変わらず存在していて、トレンドに合わせた服くらい着こなせる実力は欲しいと思うのは人の常だ。
4巻では、この数年のトレンドであるストンとしたシルエットのワンピースを指して、〈貫頭衣 流行ってるねぇ〉と看破。〈そちらのブラウス~~ インでもアウトでも着れる丈なんですよ~~〉という店員さんのセールストークに、〈でもわたしアウトでしか着ねぇ!!!〉と切り返す。たかが服、されど服。さり気ないセンスを育てるのは難しく、それゆえどうしても、オシャレをするときの自意識にはやや自家中毒気味。だからこそ多くの女性はきっと、オシャレ弱者を自認する番子さん節に己の本音を重ねてしまうはず。
『神は細部に宿るのよ』(既刊1~4巻) 久世番子
ファッションにコンプレックスを抱く同胞たちの悩みをすくい取ってくれる、オシャレ川岸の川下住人〈番子さん〉。彼女の歯に衣着せぬファッション評は、笑いにも慰めにもなる名言多し。ファッショニスタに憧れつつも、現実に打ちのめされている人ほど楽しめそう。
講談社 676円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2015.12.06(日)
文=三浦天紗子