Magnificent View #608
サンタ・マリア・マッジョーレ教会バリオーニ礼拝堂(イタリア)

(C) R. Ian Lloyd / Masterfile / amanaimages

 イタリア中部のウンブリア州にあるスペッロは、中世の面影を残す小さな街。ここで最も有名なものといえば、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の中にある、バリオーニ礼拝堂の壁に描かれたフレスコ画だ。

 作者は、ルネッサンス期のイタリア人画家ピントゥリッキオ。フレスコ画は、正面、右面、左面の壁それぞれに、ひとつの主題が描かれている。中でも知られているのが、左面の「受胎告知」で、ピントゥリッキオの自画像も画中に描かれている。正面は「キリスト降臨の図」、右面は「博士たちと議論するキリスト」。いずれも保存状態がよく、繊細な筆使いと華やかな色彩に、ピントゥリッキオの画風がよく表れている。

 街は観光地化されていないが、このフレスコ画を一目見ようと、はるばる遠くから訪れる観光客も多いという。

Column

今日の絶景

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2015.05.31(日)
文=芹澤和美