世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第84回は、たかせ藍沙さんが長年の憧れを叶えたバルセロナの旅についてレポートします!

ずっと行きたかった噂のバルセロナへ!

バルセロナのグラシア通りには、ロエベを始め、ロレックス、トウス、アドルフォ・ドミンゲスなどのブランド店がずらり。

 5月からCREA WEBの連載コラムとしてレポートを予定している、ファーストクラスでの世界一周の旅の途中、1通のメールが届いた。南米のチリから2日間かけて、サンパウロ、ロンドンを経由して南アフリカへと大移動している最中だった。そこにはこう書かれていた。「正式にバルセロナにご案内できることとなりました」。

 バルセロナは、街そのものの魅力もさることながら、世界でもっとも観光客誘致に成功している街のひとつ。私はこれまでに約60カ国を旅しているものの、実はスペインは未踏なのだった。しかも、行ったことがある友人たち全員が絶賛しているバルセロナだ。中にはマンションを買ってしまったという強者もいた。東京で他の仕事もあり、私は世界一周の旅の中断を決めた。アフリカと中東の取材を終わらせ、ドバイから一時帰国した。盛りだくさんな旅だったので、2回に分けてお届けしたい。

カテドラル広場に面した建物にはピカソの壁画が! 14歳からの約9年間をバルセロナで過ごしたという。

 旅の荷物を大きなスーツケースから小型のキャリーバッグへと替え、ターキッシュ エアラインズでバルセロナへ。空港に降り立つと、初夏のような日差しに包まれた。まだ肌寒い初春の東京とは違う、さらりとした地中海性気候に、「あー、やっとバルセロナに来ることができた!」と実感。これからの数日間に胸を膨らませた。滞在先は、ブランド店が軒を連ねるグラシア通りの「マンダリン オリエンタル バルセロナ」。街歩きには格好のロケーションだ。

露店が並んでいつもにぎやかなランブラス通り。グラシア通りの端からランブラス通りを抜けて海辺まで歩くことができる。
ランブラス通りにあるリセウ劇場。1847年に造られた歴史あるオペラ座だ。見学ツアーに参加すれば中を見学することができる。

 ということで、早速街に繰り出した。コンシェルジュのお勧めは、ホテルのあるグラシア通りから南。バロック地区のランブラス通りと、その周辺の見どころをいくつか地図にマーキングしてくれた。バルセロナは、歩道が広くてよく整備されているし、歩いて廻るのにちょうどいいサイズの街なのだ。街並みも美しいし、魅力的なお店がたくさんあるし、歩いていて飽きない。

ランブラス通りから少し外れると、小さな裏路地や広場があって、オープンカフェも。街歩きの休憩にお勧めの空間だ。

 南に向かってまっすぐ歩いているつもりが、センスのいいウインドウディスプレイに吸い寄せられ、アイスクリーム店を素通りできず、気がついたらジグザグに歩いていた(笑)。ちょっと冒険のつもりで、表通りから裏路地へ。人がやっとすれ違うことができるくらいの細い路地に雰囲気のいいカフェや雑貨店があったり、急に視界が開けて小さな広場があったり。カフェでコーヒーでも、と思っていたのに、あっという間に予定時間を過ぎてしまった。

左:「ザラ」とともに人気の、バルセロナ発のカジュアルブランド「デシグアル」。
右:インパクトのあるマネキンを使っているのは「クスト バルセロナ」。空港にも店舗があるバルセロナの人気ブランドだ。
1種類の靴、1種類のバッグ。形はすべて同じで、素材と柄が違うという、かわいくて人気のバレエシューズ専門店「コクア」。日本のテレビ番組でも紹介された。

 道は海へと続いていた。こんなに素敵な街の目の前にロングビーチがあり、地中海が広がっていることに感動! その一角にはヌーディストビーチもあって目のやり場に困る場面もあったけれど(汗)。その自由がバルセロナを一層魅力的な街にしている気がした。地中海を愛でた後、帰りはタクシーで。海沿いの大型ホテルの前ですぐ捕まえることができるというのも、街が隣接しているビーチならではだ。

歩き疲れたらこんな乗り物を利用するという手も。大通りでは馬車も走っていた。
弓なりに延びるバルセロネータビーチ。夏になると海水浴客でにぎわう。

Desigual(デシグアル)
URL http://www.desigual.com/

Custo Barcelona(クスト バルセロナ)
URL http://www.custo.com/

Kokua(コクア)
URL http://kokuabarcelona.wordpress.com/

2015.05.05(火)
文・撮影=たかせ藍沙