地中海特有の乾いた陽射しのもと、古代ローマから連綿と続く街、バルセロナ。

 続々と新しいホテルの建つこの街では、常に情報更新をしておかないと、話題でしかも快適な最新ホテルを逃してしまう。もちろん新しければ良いわけでもなく、ニーズに合った宿というのが肝心。

 今回はホットでラグジュアリーな、おすすめのホテル3軒をご紹介。

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◆ Hotel Mercer Barcelona (ホテル・メルセル・バルセロナ)

密やかにして極上リュクスがかなう

スイートの301号室。全室床はフローリングで、ほどよくシンプルな設い。天蓋付きのベッドもフリフリでないのが好感触だ。

 ゴシック地区の古い街並みの中、細い路地を行くと見つかる。が、間口は最小限な感じ。ただ、高さのあるエントランスなので、格が伝わる。古代ローマの城壁が遺るという歴史的なホテルだ。

ロビーラウンジは、中庭に向けて明るい仕様。コンパクトに美しくまとまった機能性が、使い勝手のよいホテルにしている。
アメニティはイギリス、モルトンブラウンのもの。ほか、設えのセンス抜群。

 このホテル、いちばん古い部分でなんと紀元1世紀。4世紀ごろの物見の塔をうまく取り込んで、ホテルに改修してある。設計は、プラド美術館の増築を担ったホセ・ラファエル・モネオ。19世紀のモデルニスモ建築ばかりを見学していると、こんなに古い建物がかえって新鮮に感じられるという不思議。もちろん、ナチュラルモダンな内装に合わせた古代の壁はきれいに洗われ、手入れをされて、かび臭さなど微塵も感じない。バルセロナだからこそ味わえるパラドックス的感覚なのかもしれない。

左:4世紀の城壁につくられた物見の塔の一部が遺るライブラリースペース。
右:エントランスのドアマンも風格ある感じ。

撮影=小野祐次
文=大沢さつき
コーディネート=守屋照見