世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第67回は、大沢さつきさんが、食都バルセロナの最新グルメ事情についてレポートします。

レストラン+バルの“レスト=バル”とは?

街中ワンダーランドなガウディ。にょっきりカラフルな塔が並ぶのは、グエル邸の屋上。

 スペインの食といえば、手軽で、素早く、おいしい“バル”。ここバルセロナにも人気バルが数多点在する。で、近年流行りなのが、レストランとバルを合わせた“レスト=バル”なる形態。文字通りレストランとバルを兼ねた店で、両方のイイトコ取りを狙っている。

バルセロナ=サグラダ・ファミリアのイメージが強いが、地中海に面したリゾートの街は、やっぱり魚介がうまい。

 白いクロスの掛かったテーブルの並ぶレストランスペースと、よりカジュアルなバル空間とを分けている店。小洒落た雰囲気に、バルのインティメートな感じをプラスした店。様子はさまざまながら、明らかにいままでの一杯呑み屋+αなバルとは違う。

12月9日オープンの「ディスフルタール」は、「エル・ブジ」の元チーフ3人がオーナーシェフ。ただいま話題沸騰のこの店も、入り口近くのスペースはバル的カウンター(2015年3月10日発売予定のCREA Travellerにて詳細をご紹介)。

 伝説の「エル・ブジ」料理人フェラン・アドリアの弟アルベルトは、いまや兄に代わってスペイン料理界の寵児だが、彼の店にもこのレスト=バルの発想が見受けられる。バルセロナでもっとも予約の取れないレストラン「チケッツ」は、バル料理タパスを供する店。同じく予約至難の、隣接した「41°(クアレンタ・イ・ウン・グラドス)」もフィンガーフードにカクテルを合わせた店。2軒は店内で繋がっているが、スタッフもメニューもまったく別だ。

 最近オープンさせたメキシコ料理の「オハ・サンタ」と「ニーニョ・ビエッホ」も同じような構造。前者は白いクロスのレストランスタイルで、後者はよりカジュアルなバル的スタイル(この2軒については2015年3月10日発売予定のCREA Travellerにて詳細をご紹介)。

世界中のツーリストとジモティたちに愛される「バル・デル・プラ」は、予約必須。

 とはいえ、昔ながらのバルがなくなったわけではない。うまいと評判のバルは相変わらずの人気で、こちらもまた予約必須の盛況ぶり。

 ピカソ美術館そばの「バル・デル・プラ」は日本でも有名だが、おいしい上に12時~24時の通し営業なので、早めの夕食を食べたいツーリストにもとても人気。夜の20時にはツーリストでごった返し、22時くらいからは宵っぱりスペイン人で埋まる。この店ではぜひ、スペイン的刺身料理セビッチェとイカ墨コロッケを試して欲しい。新鮮な魚介と伝統のタパスを堪能できること間違いない。

超フレッシュな魚介を軽くマリネしたセビッチェは、日本人好みの味。
アーティチョークの炭火焼、コロッケ、ザクロ入りサラダ……。もう~堪らないおいしさ。そしてアッという間にテーブルを埋めてくれる素早さが、タパの魅力。

Bar del Pla(バル・デル・プラ)
所在地 Carrer Montcada 2, Barcelona
電話番号 +34-93-268-3003
URL  http://www.bardelpla.cat/

「バル・アンヘル」とは“天使のバー”の意味だが、店には親父たちとサービスのお姉さん2人。

 穴場的“親父バル”が「バル・アンヘル」。海に近いシウタデジャ公園の近くにある店で、地元の親父たち愛用のバルだ。

 この店にはさまざまな生ハムが用意され、今回は牛肉の生ハムが食べられた。もちろん魚介のタパもうまい。ここは夜は20時からの営業で、繁華街からも外れるので、ツーリストは少ない。

左:さっと炙ったホタテのうまいこと! 食材がよいので、素早いシンプル調理が基本。
右:本日おすすめの牛肉の生ハムは、店長が仕込んできたスペシャル。毎日あるとは限らないが、その日その日で、目玉のメニューをすすめてくれるので、素直に従うがベスト。

Bar Angel(バル・アンヘル)
所在地 Carrer Ocata 2, Barcelona
電話番号 +34-93-269-0493
URL http://www.barangelbarcelona.com/

2015.01.07(水)
文・撮影=大沢さつき