#040 Moorea Island
モーレア島(タヒチ)
この島の人々にとってアートは暮らしの一部
国際空港のあるタヒチ島の北西約18キロ、別名“シスターアイランド”とも呼ばれているモーレア島。その島影は肉眼でも確認でき、1000メートル級の山並みがギザギザと連なる様子を、かつてゴーギャンは「古城のようだ」とたたえました。
モーレア島へはタヒチ島から国内線なら10分足らず、高速カタマラン(双胴船)でも約30分。日帰りでも気軽に訪れることができます。
この近さは地元の人にとっては、いわば“通勤圏”。高速艇の中ではタヒチ島パペーテへ仕事に出かけるローカルの姿をよく目にします。時には船上で陽気にギターを弾きながら、数人で盛り上がっていることも。フランスからモーレア島に移住した、とある画家さんも、何か必要があればすぐにパペーテへ行けるし、島暮らしもできるし、好都合だと言っていましたっけ。
その画家さんいわく「タヒチには特別な力があるんだ」と。19世紀にはゴーギャン、20世紀にはマティス、多くの画家の心をとらえてきたタヒチの魔法は現在も発揮されているもよう。そのせいか、タヒチ島はもちろん、モーレア島にも、在住アーティストの作品を扱うギャラリーが、他の南の島よりも多い気がします。ギャラリーをめぐると、のんびりとした島の日々を描いた現代版ゴーギャンのような作品と出会うことも。
特に画家でなくても、アートは暮らしの一部。かつて泊まったペンションの若奥さんも、売り物にするわけでもなく、自分でパレオを染めていました。ヤシの合間に干した、はためくパレオの色鮮やかだったこと!
2015.01.10(土)
文・撮影=古関千恵子