オー・ヘンリーの短篇小説「最後の一葉」から何を学ぶ?
オー・ヘンリーの小説に、「最後の一葉」という短篇がある。きっと誰もが知っている。重い病気にかかった画家が、アパートの窓から見える“蔦の葉”がしだいに落ちていくのを見て「あの葉がすべて落ちたら自分も死ぬ」と思い込む。でも最後に残った一枚は、嵐が二晩続いても落ちず、それを見た画家は生きる意欲を甦らせて、奇跡的な回復を果たすのだ。でも、その“最後の一枚”は同じアパートに住む老画家が壁に描いたニセの葉だったという物語。
じつはこれも一種の“プラセボ効果”かもしれないと思ってみた。今、良くも悪くも話題なのが、“偽薬”と訳されるプラセボ効果。しかし本来これは、“自らを喜ばせる”という意味だったりする。つまり薬効はまったくないのに、薬だと思い込むと効いてしまう、暗示効果なのだ。ニセの薬とはいえ、立派に臨床に使われる治療のひとつなのだ。痛みを和らげるレベルなら、患者の30%から50%は効果が出てしまうらしい。
だから賛否両論あるものの、本物の薬の効果を測るため、見た目そっくりの偽薬で臨床比較する時などにも考慮するものなのだとか。またサプリには、逆にそういう暗示効果も含めて期待していいのじゃないか。
2015.01.06(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫