婚活リップにも幸せ香水にも“プラセボ効果”が!
そして化粧品にはむしろ大いに活用してもらいたい。もっとも化粧品向きと言ってもいいから。もちろん一方できちんと有効成分を効かせながら、同時にプラセボもダブルで効かせられたら理想的。実際に、“化粧水”というラベルのついた“ただの水”で、肌がきちんと潤ってしまうという実験結果はたくさんあり、特に有名ブランドや高価格の化粧品、またストレートに効きめを訴えるネーミングなどは、このプラセボがより明快に効くらしい。所詮病気を治すものではないのだから、化粧品なら自らダマされてあげにいってもいいんじゃないか。
だからスキンケアは、心から効くと信じて使ってほしい。効くと思えば効く。効かないと思ったら損をする……それが化粧品なのだから。疑いながら使うなんてもってのほか。もう買ってしまった化粧品には、いちいちアラを探して腹を立てるより、こんなに効く、こんなにすごいと誉めたたえるほうが賢い使い方。そうやって自らに暗示をかけることが効果を倍増させるのだから。
そうそう、“婚活リップ”の異名をとるエスティ ローダーのピュア カラー クリスタル シアー 01番とそのバリエである色たちは、本当に婚活に効くと言われるが、あれもプラセボ効果の一種なのだろうし、幸せになるフレグランスとして有名なYSLのベビードールは、“お守り”以上の効きめがあるともっぱらの噂だが、これもやっぱりプラセボ……。さらにはジバンシイの美白ラインが作ったフェイスパウダーでは、仕上げた白肌がそのまま美白の効きめに変わるという暗示効果を効かせてしまおう。プラセボを操ってこその美容なのだから。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.01.06(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫