旅館道 その3
「水、空気、眺めのよい所で身体にいいことを追求する」

客室にはボトルに入った阿蘇の湧き水が置かれている。そのまま飲んでもコーヒーにしてもおいしい。

 「界 阿蘇」では、水のおいしさにも自然の恵みが感じられる。コーヒーやお茶のまろやかでおいしいこと。もちろんそのまま飲んでもおいしい。

先付として出たのは手前から桜肉のたたき、カッテージチーズ、牛味噌漬け。
左:松茸をあぶって、贅沢な秋の味覚は、まずは香りを楽しんで。
右:九州産の黒毛和牛とアワビをしゃぶしゃぶで。山の幸、海の幸をともに味わう。

 食事は、先付に桜肉のたたき、台のものに大分県産の黒毛和牛の豊備牛と別府湾から揚がるアワビのともしゃぶしゃぶなど九州の新鮮な食材をふんだんに使ったディナーが、阿蘇五岳の眺めも美しいダイニングで味わえる。

馬油を使用したフルボディのトリートメント(90分)は21,600円(税込)。

 食事と並んで、スパや朝の体操も身体が喜ぶ贅沢だ。スパは、馬油(マーユ)を使用した無添加100%天然のオイル。まったく臭みはなくピュアな感じでしっとり浸透してゆく。そのほか和漢のオイルによるトリートメントもある。

15分間、深呼吸に合わせて軽く身体も動かす。朝起きの気持ちよさを実感。

 スパや食事で自分を甘やかして一日を過ごした翌日は、テラスで毎朝7時30分から行われる腹式呼吸を中心としたカルデラ体操にいそしむ。いい空気を胸いっぱいに吸い込んだだけでもかなりの気持ちよさ。体操後は果物や野菜を使ったスムージーもサービスしてくれる。

ナチュラルな客室。ベッドの寝具はハンガリー産のホワイトグースを使っていて、驚くほど寝心地がよい。

「界 阿蘇」では、心地よいベッドの中でいつもより眠りも深かったように思う。自然の中にこもって、温泉を満喫。自分時間をゆっくりと楽しむ旅館の過ごし方は最高に贅沢だった。

星野リゾート 界 阿蘇
所在地 大分県玖珠郡九重町大字湯坪628-6

電話番号 050-3786-0099(界予約センター)
URL http://kai-aso.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

和の宿を味わう「旅館道」 星野リゾートのおもてなし

伝統ある日本旅館、雰囲気には憧れるけど、物怖じしたりはしていませんか? そんな和の宿の魅力とその味わいを気後れせず楽しむための心得が「旅館道」。この連載コラムでは、全国に広がる星野リゾートの至福の名宿を巡りながら、「旅館道」を追求していきます!

2014.11.08(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=深野未季