星野リゾート 界 松本(後篇)
日本旅館の魅力とその味わい方を追求する「旅館道」。今回訪れたのは、工芸で有名な松本にある和心地な温泉旅館「星野リゾート界 松本」。「界 松本」ならではの過ごし方も見てみましょう。
この宿の“ならでは” その1
「湧水の町、松本が誇る北アルプスの美しい水を味わう」
北アルプスの山並みが美しく見える松本の町。その山々を源とする水が、女鳥羽川や薄川となって流れ、伏流水が町中に井戸や湧水として湧き出ている。松本城の城下町の雰囲気を残す市内には、全部で24もの湧水スポットがある。
「界 松本」では、その自然の恵みを直接いただく“湧水巡り”や、その湧水を使った水出しコーヒーやハーブティ、そして湧水を使ったヘルシーなメニューなども組み入れた「湧水滞在」というプランを提供している。
8月31日(日)までの期間限定で、1日1組のみが対象というこの「湧水滞在」。まず、湧水巡りでは、オリジナルタンブラー片手にオリジナルマップを見ながら湧水の飲み比べ。特に、白と黒のなまこ壁と呼ばれる蔵造りの家が建ち並び、城下町の情緒を今に残す中町通り沿いには、数多くの湧水があって、楽しい散策になる。
右:季節野菜と牛肉を湧水の蒸気で蒸し上げてヘルシーに。
このプランでの特色が、湧水の自然なおいしさを生かした、ここだけのお料理が味わえること。夕食には、信州プレミアム牛と地元の野菜を、目の前で名水を使って蒸し上げる「季節野菜の湧水蒸し」、朝食には、源氏物語のなかで光源氏が食べたといわれる「水飯」がでる。炊きたてのご飯を冷水で冷やし、おろしわさびと塩で食べるさっぱりとした一品は、夏の暑い時にぴったりだ。
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2014.06.29(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=深野未季