眠りへの関心が高まっている現代。完璧な睡眠を目指しデバイスやネットの情報を意識した結果、かえって上手く眠れなくなってしまうというジレンマも。睡眠にまつわる情報を正しく整理しておこう。
女性ホルモンと眠りの切実な関係とは? 眠りの質を底上げしたい!
ウェアラブルデバイスなどで睡眠をセルフチェックし、眠りの質を高めようと頑張れば頑張るほど上手く眠れなくなってしまう。このような状態を指す「オルソソムニア」という言葉も誕生する近年。巷に溢れる情報に溺れないために、女性が今知っておきたいことを「眠りと咳のクリニック虎ノ門」院長の柳原万里子先生に教えてもらった。
「睡眠や日中のパフォーマンスへの意識が高い人ほど、アプリやデバイス、ネットの情報に敏感で、振り回されがち。眠ろうとして神経を張り巡らせるほど覚醒度は上がってしまいます。難しいけれど、少し肩の力を抜きましょう」
大切なのは日中の元気度
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、熟睡感がない。不眠症状と呼ばれるこれらのトラブルと、病気として治療が必要な“不眠障害(不眠症)”の違いとは?
「上手く眠れていなくても、日中に支障が出ていなければ病気とは診断されません。日中の支障は具体的には、疲労や倦怠感、注意力・集中力・記憶力の低下、仕事や日常生活でのミスや効率低下、成績の低下、イライラや衝動性、やる気・気力・自発性の低下などのことを言います」
昼食後や午後2~3時頃に感じる眠気、月経前の強い眠気は心配ない。その一方で、自分で抱え込まずに医療機関を頼ったほうがいいケースもある。
「働き盛りの世代で多いのは、ストレス反応による『一過性の不眠』です。転職や異動による環境の変化、人間関係のストレスなど、不眠の誘因が明確なケースが多く、実際に眠れている時間が数時間など、かなり短い傾向にあります。うつ病や高血圧症など他の疾患のリスクも高まります。『最近忙しいから』『年のせいかも』と考えずに、日中につらさを感じている場合には気負わずに、早めに睡眠外来を受診しましょう」
一過性の不眠が長期化し、慢性不眠障害へと発展するケースもあるという。
「不眠症状の期間が長引くと、当初の不眠の誘因とは別に『今日も眠れなかったらどうしよう』という不安や緊張、不眠による健康への悪影響を過度に心配することが原因となり不眠が慢性化する方がいます。一過性の不眠を慢性化させないことが大切です」
“リベンジ夜更かし”って?
日中に自由にできる時間がなく我慢が溜まってしまうと、そのリベンジをするかの如く、夜更かしをして自分の好きなSNSやゲーム、動画などで睡眠時間を削ってしまいがち。この“リベンジ夜更かし”は、常態化すると睡眠不足や体内時計の夜型化を生じ、肥満や情緒不安定を招く原因となります。回避策は、夕方以降こまめにSNSなどで一息入れ、夜までに効率よく我慢を発散しておくこと。
CREA 2026年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
