日本初の「ハラスメント」裁判に挑んだ女性たちに着想を得て描いた映画『ファーストボイス』で、人間味と愛嬌、力強さを兼ね備えた主人公・朝日道子弁護士を演じた綾瀬はるかさん。本作で体現したパワフルな女性像について、撮影エピソードを振り返りながら語っていただきました。
当時はどれほどの勇気が必要だったのだろう
――今回、日本初の「ハラスメント」裁判に立ち向かう弁護士・朝日道子を演じるにあたり、意識されたことを教えてください。
以前『元彼の遺言状』というドラマでも弁護士役をやらせていただきましたが、今回はバブル時代の設定ですし、実話に着想を得た作品でもあり、社会の様子や描かれている人物像も異なります。そのうえで台本を読んだとき、まず朝日先生に抱いた印象は「とても芯の強い方だな」ということでした。
彼女だって、もちろん落ち込むこともあるのですが、それすら前向きなパワーに変えられる人で、「始めてみなくちゃ始まらない。レッツ・ビギンよ!」と、どこか楽観的でマイペースに見えながらも、依頼者に寄り添える優しさや、困った人を放っておけない面倒見の良さ、最後まで一緒に戦おうとする粘り強さがある。そういった人間味溢れる部分が魅力的でもあり、彼女の強さに繋がっているのかなと思ったので、そこを意識して演じさせていただきました。
――そのほか、台本を読んだときに感じられたことはありますか?
「本当にこんなことがあったの?」と驚く場面が何度もありました。「やめてください」という一言を発するのにも、当時はどれほどの勇気が必要だったのだろうかと。そこから、今の私たちにとってはごく普通のことだったりするけれど、この先、何十年後かに「なぜあの時代の人たちはこんな理不尽なことをされていたんだろう」と思われることもあるのかなと考えたりもして。
裁判を起こして戦うことがどれほど大きな壁だったのだろうかと胸がいっぱいになりました。バブルと呼ばれたあの頃の服やメイクを見ていると、エネルギッシュで勢いがある反面、女性にとっては今以上に生きづらく、多くの葛藤があったはずです。今でこそ「女性は強い」なんて言われたりもしますけれどね(笑)。ただ、男性であっても苦しかったという方はいらっしゃったと思います。
