【次に流行ってほしいもう一曲】
アイリス(by MORADOLL)「プリズムレター」
仙台のローカルアイドルの新曲をネットで公開募集
伊藤 この「猟奇的なキスを私にして」の2日後の8月8日には、宮城県出身3人組アイドルのアイリス(by MORADOLL)の「プリズムレター」のリリースがありますが、これにはプロデューサーとして山口さんが関わっているんですよね?
山口 「月刊デ☆ビュー」の編集長に頼まれて、持ち歌が2曲しか無い仙台のアイドルの曲を集める「公開コンペ」をやりました。DeNAがやっているインターネット放送「Showroom」と連動して2カ月間くらいかけて集めて、最後は公開イベントで選ぶという企画をプロデュースさせていただきました。
伊藤 シングル曲をネットを使って公募して、ファン投票で数曲まで絞って、最終的に公開選曲会でアーティスト本人が選ぶというのは、かなり新しい試みだと思うのですが、やってみてどうでしたか?
山口 今の時代に合っているからか、違和感は無かったですね。150曲くらい集まりました。ネット番組でユーザー投票して勝ち残っていくって、昔、テレビでやっていた「イカ天」みたいで面白かったです。ただ、ネットで、オープンに集めると、プロの作曲家は参加してくれないから、曲のクオリティが心配なんですよね。僕に話がきたのも、あいつがいれば「山口ゼミ」出身の新人作曲家がたくさん作品出してくるから、楽曲の質が担保されるだろうという計算だったようです(笑)。
伊藤 そうだったんですね。
山口 結果、佐々木淳一と河内結衣という山口ゼミ1期生でCWF(Co-Writing Farm)のメンバー2人がコライト(共作)した作品が選ばれました。作詞、作曲、編曲まですべて、2人でやらせてもらってました。今回の僕は、プロデュースと言うより、監修というか、見守り係みたいな役割でしたけれど、彼女たちのフレッシュさ、無垢な感じが伝わる作品にできたと思うので、聴いてみて欲しいです。「アイリス」という名前が、ギリシャの女神の名前なので、神話の構造を取り入れつつ、ファンを元気づけるというグループの方針に沿った歌詞になっています。
伊藤 アイリスもまた、グループ名が彼女たちのイメージであり、コンセプトでもあり、音楽制作やプロモーションの戦略のテーマになっているんですね。彼女達のこれからにも、期待したいですね!
アイリス(by MORADOLL)「プリズムレター」
MORADO MUSIC 2014年8月8日発売
1,300円(税抜)
■アイリスは、仙台を拠点に活動する3人組アイドルユニット。2013年に解散したテクプリというユニットの解散後、そのメンバーだったリオ、ユキノ、モモカの3名により結成。同年秋には、宮城県警から「自転車安全利用マナーアップ大使」の委嘱を受ける。
■「プリズムレター」作詞・作曲・編曲/河内結衣(CWF)、佐々木淳一(CWF)
■オフィシャルサイトURL http://morado.jp/talent/iris.html
Column
来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤
音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!
2014.07.30(水)
文=山口哲一、伊藤涼