暗い神社で手を合わせる二人の姿
「着いたぁ~……ちょっと休憩しよう」
「確かに疲れたな……酒飲んでいたのもあるし」
「あんなに飲むから……」
石階段の一番上に座り込む2人にいつもの調子で小言を言うTさんを横目に、Oさんは視線を神社の奥に向けました。
ほのかな月明かりの下に階段から続くまっすぐと伸びた石畳が見えました。そして、その脇の石灯籠を2つほど越えた奥に、古びた神社の本殿がありました。
「ん?」
その本殿の屋根の下。閉ざされた格子戸とくたびれた本坪鈴(ほんつぼすず)の前に、1組の人影が見えたのです。
一瞬何者かとドキリとしましたが、よく見ると賽銭箱の前に立っていたのはOさんたちと同年代と思しきカップルのようでした。
彼らは背を丸めて頭をわずかに下げ、その肘も上がっていたので、どうやら手を合わせている最中と見えました。
「じゃあ、そろそろお参りしますか」
Oさんは声をひそめながら、後ろで立ち上がったTさんたちに先客がいることを告げました。
「なんだよ、意外に人いるんだな」
「ちょっと安心したね」
彼らが終わったらお参りに行こう――皆そう考え、その場でしばらく待っていました。
しかし、これがいつまで経っても終わらないのです。










