「峠の釜めし」というIPを活かして
荻野屋では現在、東京都内への飲食店出店という挑戦を続けています。現在のところ笹塚に茶飯おにぎりの「おこめ茶屋米米-めめ-」。五反田にうどん屋「荻野屋 回 -kai-」。神田に和食店「おぎのや食堂」等があり、その中で「峠の釜めし」の可能性を突き詰めたのが有楽町の「荻野屋 弦」です。

「荻野屋 弦」はいわばとことん「峠の釜めし」にこだわった飲食店で、ど真ん中は不動の「峠の釜めし」ですが、バリエーション釜めしとして「鶏めし温玉のせ」や「上州牛そぼろめし」なども展開。さらに「峠の釜めし」のごはん抜きである「峠の釜めしのアタマ」や、釜風小皿に盛られた一品郷土料理でちょい飲みもできるなど、有楽町~銀座~日比谷界隈のビジネスパーソンも、ふらりと立ち寄ることのできる、気軽なお店になっています。

「ドライブンインの運営で飲食業の経験は重ねてきましたし、荻野屋として“峠の釜めしを東京でしっかりお届けしたい”という願いをもって出店を続けています。店内飲食、テイクアウトともご愛顧いただいていますが、インバウンドにまだリーチできていないのが目下最大の課題です。日本アニメは海外でも人気がありますので、コラボが起爆剤になってくれることを期待しています」
要するに「峠の釜めし」というIPをさまざまなカタチで利用するということでしょう。もはや「峠の釜めし」は一種のキャラクターなんですね。

「峠の釜めし」を記憶でつなげる
「会社としては140年、『峠の釜めし』も今年で68年という歴史がありますので、親から子へというかたちで駅弁にまつわる記憶やエピソードを伝えていただき、食べてみたい、と思ってほしいですね。峠の釜めしは変わらず峠の釜めしの味を守り続けていきます。『荻野屋 弦』といった飲食店舗やアニメコラボも含め、今後もぜひご注目下さい!」
荻野屋では「峠の釜めし」にアレンジを加えることはご法度、つまり聖域でした。しかし「より広く届けたい」という想いと時代の後押しもあって、「荻野屋 弦」でのアレンジ釜めし、釜めしのアタマなどのメニューが生まれ、またアニメコラボも実現しています。

最後にうんちくです。「峠の釜めし」の釜が直火OKなのをご存じですか? 約一合のごはんが炊けますのでぜひご活用ください。ただし容器は割れる場合もありますので、ご使用の際は十分ご注意を。(下記URL参照)
https://www.oginoya.co.jp/tougenokamameshi/reuse/how_to_cook_rice/

荻野屋 弦
所在地 東京都千代田区有楽町2-9-8 JR東日本有楽町駅高架下【エキュートエディション有楽町】内
電話番号 03-6810-0211
営業時間 11~23時
https://oginoya.tokyo/yurakucho/

2025.10.02(木)
文=前田賢紀
写真=志水 隆