どこに行っても、「日本人であること」の強みを感じる
僕は「人生は短い」と思っている。だから、生き急ぐところがあるのかもしれない。人の10倍くらいのスピードで生きている感覚だから、「やりたいことがあるなら、今すぐやる」。そんなふうに毎日を過ごしている。旅に出るときもそう。
今では、たぶん芸能界でも一番飛行機に乗っているんじゃないかと思うほど旅をしている。ヨーロッパに行くのも、もう沖縄に行くくらいの感覚だし(笑)。昨年だけでも、旅先は数えきれない。タイのサムイ島、ロンドン、アムステルダム、ベルリン。スペインではマヨルカ島、イビサ島、バルセロナ、そしてシッチェスにも足を運んだ。今年に入ってからも、ロンドン、イタリアのミラノやコモ湖、キャンティ地方にフィレンツェ、アメリカではニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン、ハワイ。アジアではタイや台湾。オーストラリアではメルボルン、シドニー、ゴールドコーストにも……。
そして、どこに行っても感じるのは、「日本人であること」の強み。どの国でも、「日本は素晴らしい国だね」「カルチャーが好き」「ご飯がおいしい」「いつか行ってみたい」と声をかけられる。そんなとき、僕はいつも誇りをもって「日本出身です」と答えている。だからこそ、もっと日本のことを深く知りたいと思うようにもなった。その気持ちはぐんと増している。
旅は、僕に自由をくれた。いろんな国を巡り、いろんな人と出会い、僕の世界はどんどん広がった。自分の“外側”を広げることで、自分の“内側”が深まっていく。旅は、ただの移動ではなく、人生の再構築なのかもしれない。だからこそ、今、この国を大切にしたいと思えるし、自分のことも、ようやくちゃんと愛せていると思う。
與真司郎(あたえ・しんじろう)
1988年、京都府生まれ。14歳のときにエイベックスに入り、2005年に結成した男女混合のパフォーマンスグループ「AAA(トリプル・エー)」のメンバーとしてデビュー。2016年、ソロ活動開始と同時にロサンゼルスに移住。大学に通いながら約9年間を過ごす。2021年、AAA初となる6大ドームツアーを終えたタイミングでグループは活動休止に。2023年7月、「與真司郎 announcement」にて、自身がゲイであることを公表。著書に『すべての生き方は正解で不正解』『人生そんなもん』(ともに講談社)がある。
