「家庭と家族の人生を温める」料理を伝えたい

 家庭料理は、毎日同じ家族が囲む食卓に並ぶもの。「作る人の負担にならず、なじみのある味で、みんながおいしいと思える味を毎回作れるように」との思いから、“日本の家庭料理”に挑戦した三國シェフ。

「この本では料理の作り方だけでなく、みんなでおいしいと言い合える毎日も伝えたい。“おいしかった”の一言が、家庭も、家族の人生も温めてくれるんです」

 最後に三國シェフは、料理が上達する一番の方法として、「何回も何回も自分で作って失敗すること」と強調。さらに、「外に食べに行って、おいしいと思ったものを自分なりにアレンジしてみることも大切」と語ります。

 そんな三國シェフは、四ツ谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」と同じ場所に、新店「三國」を9月1日にオープンしたばかり。カウンター8席の店で、料理はすべて自ら担当し、お客さんと相談しながら料理を決めるという、かつてないスタイルに挑戦しています。

「カウンターだけの店なので、お客様を前にして真剣勝負です。気力と体力には自信があったんですけど、先輩シェフの多くが70歳手前で引退される理由がよくわかりました。予想以上に大変ですが、頑張りたいですね」

 目標は84歳まで現場に立ち続けた、帝国ホテル元総料理長であり師匠の村上信夫さん。「自分はそれより1年でも長く料理人でありたい」と語ります。

 71歳を迎えた今も精力的に挑戦を続ける三國シェフ。そんな百戦錬磨の巨匠ですら「華やかな料理を作るよりも大変だった」と明かす、“最初で最後”の家庭料理には、繰り返し作りたくなる簡単レシピはもちろん、シェフ直伝の「家庭料理の極意」や「家庭料理の基本」など、日々の料理にすぐに役立つ知恵も満載です。

 ぜひ毎日の料理に“ミクニ流”を取り入れて、自分や家庭に合う料理を見つけてみてください。

ザ・シェフ三國の究極家庭おかず

定価 1,980円(税込)
主婦の友社
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2025.10.04(土)
取材・文=田辺千菊(Choki!)
写真=釜谷洋史