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夏の「蔦夜書店」はオカルトをフィーチャー

――「蔦夜書店~怪異な夜~」の出演者は、どのようにして決めていったのですか?

野村 文様作家で怪談収集家のApsu Shusei(アプスー・シュウセイ)さんと以前からのお付き合いがあり、じつは最初にご相談したのもApsuさんなんです。トークショーをしていただけないかと。Apsuさんは本業が立て込んでいるとのことで出演が叶わなかったのですが、ご友人のオカルトコレクター・田中俊行さんはOKということで、まずはひと安心しました。

 さらに、せっかく丑三つ時をまたぐわけですから、トークショーだけでなく怪談も楽しんでいただきたい! ということで、チビルマさん、はおまりこさん、深津さくらさん、夜馬裕さんにもご出演をお願いしたんです。

――観客は70人ほどとのことでしたが、抽選だったとか。

野村 抽選で50組、1組2人までという枠に約2倍の申し込みがありました。告知のタイミングが遅くなってしまったのと、深夜開催というハードルもあるので大丈夫かなと思いましたが、出演者の方がそれぞれのSNSで告知してくださったこともあり、あっという間に定員オーバーになりました。各怪談師さんの人気ぶりとともに、怪談ブームの勢いを感じましたね。

――怪談ブームの影響は、書籍の売り上げからも感じられますか?

野村 売り上げもそうですが、出版される書籍そのものがグンと増えましたし、怪談師として活躍される方もかなり増えている印象です。だからこそ、怪談イベントも急増しているなかで、「代官山 蔦屋書店」ならではの特色をどうやって出していけばいいか、スタッフ間ですごく話し合いました。<深夜のイベント>というだけなら、百貨店さんなどの前例もありますから。

 そこで考えたのが「怪談めぐり」です。書籍のコーナーがジャンルごとに分かれているので、4人の怪談師の方には好きなジャンルを選んで座っていただき、それにちなんだ怪談を披露してもらおうという。はおまりこさんは、会場の都合で、ビジネス書に囲まれながら妖怪とか呪いの話をしていただくことになってしまったのですが(笑)。

2025.10.09(木)
文=伊藤由起
写真=志水 隆