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いざ体験! 「塩麹つくり」&「発酵万能ニラたれつくり」

 夜に行われた講座「塩麹つくり」と「発酵万能ニラたれつくり」では、持ち帰り用の塩麹を仕込み、夕食用の食材を使って調理を体験。手作りの万能ニラたれをかけて料理を味わった。

 麹菌は日本の「国菌」であり、味噌、醤油、みりん、日本酒、焼酎など日本の伝統的な発酵食品の製造に不可欠な麹を作り出す菌である。日本の食文化を支えてきた重要な微生物だ。発酵調味料は和食の土台ともなっている。

 まずは塩麹を作る。蔵元から仕入れた生の麹をほぐして塩を加え、ひたすら混ぜる。「麹はしっかり起こすことが大切です」というアドバイスのもと、塊になるくらいまでかき混ぜた。

 その麹を瓶に移して水を加えれば、塩麹の仕込みは完了。夏場なら常温で3日ほど、蓋を軽くのせる程度にし、1日1回混ぜることで発酵が進む。発酵した塩麹は冷蔵庫で保管すれば半年ほどもつというから、使い勝手がよさそうだ。

 これまで塩麹は買っていたけれど、これなら自分でも作れそう。家でもチャレンジしてみたくなった。

 お客さんからも、「これを入れるだけでお料理がおいしくなったように感じる」との声が寄せられるとか。温泉旅館でのこんな体験プログラムもなかなか楽しい。

 この日に作ったのは、チキンソテーの発酵ニラたれかけ、茄子の煮浸し、長芋の梅肉おかか和え。炊き込みご飯と味噌汁もつけた、健康によさそうな夕食だ。

 この宿は湯治をテーマにしているため、浴衣や作務衣といった館内着はなく、歯ブラシも持参が基本。自身が気に入っているものを持参するといいだろう。環境に配慮し、肌への負担が少ないシャンプー、コンディショナー、ボディソープを採用。さらに、洗濯機と乾燥機は完備されていて、長期滞在にも対応している。料理の提供はない素泊まりスタイルだが、前述の塩麹作りや、その塩麹を使った夕食作りにチャレンジしてみると、湯治宿での新たな楽しみ方が広がっていく。

 そして、滞在後に計測した、自律神経バランスから見た私の健康度はどうだったかというと……。肉体疲労度は「67」から「47」に。ストレス抵抗力は「24」から「28」に上がり、健康状態は「74点」から「100点」に。心のストレス耐性が少し高まり、肉体的な疲労は少し軽減したことがデータからわかった。

 忙しすぎる毎日から抜け出して、自分の心と体に向き合い、“ちょうどいい自分”へと戻る旅に出かけてみてはどうだろう。

七日一巡り

所在地 大分県別府市小倉町26-13
電話番号 050-1726-1126
料金 素泊まり2泊 1名5万9,900円~(1室2名利用時、消費税、入湯税込み、各種体験料込み)、毎月26日(風呂の日)のみ、1泊での利用が可能でその場合は1泊2万6,650円。
https://www.toji-gurashi.jp/nanokahitomeguri

野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家

「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
https://zero-tabi.com/

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2025.10.05(日)
文・撮影=野添ちかこ