一人旅同士の出会いが、思い出になる


さて、宿泊プランに夕食をつけていないため、夜ご飯はお寿司屋さんに行くこととした。お寿司屋さんに入ると開店して間もないにも関わらず、2名のお客さんが。女性の人はひとり旅っぽい。もう1人のおじさんはいかにも常連って感じで大将とお話ししていた。大将の奥さんが案内してくれて、その2人の間に入る形でカウンターに座った(他に座敷の席もあったので間に座るのがなんだか恥ずかしかった)。地魚握り8貫を頼む。お通しに蟹味噌とキノコの和え物と冷ややっこが出てきた。ハイボールとともにいただく。うまい。これはお酒が進む味だ。
一人旅の女性の方が話しかけてくれた。久々に人と話せるのがうれしかった。その女性は仙台でトマト農家をしていて、月に一回温泉に行くそう。温泉とお寿司が好きなために今回はこの月岡温泉を選んだらしい。一人旅上級者のお姉さんができた。どうやらこの月岡温泉はお湯がいいという情報をゲットした(なんとなくでしか選んでないため全く月岡温泉について知らなかったのだ)。確かに月岡温泉にバスから降り立った時、硫黄の匂いを感じた。どこか懐かしいような匂い。

そんなお話をしているうちに地魚握り8貫が出てきた。魚には疎いので何が何だかわからなかったが、ネタの厚さがまず違う。歯応えがあって、かつ脂も乗っている。大将曰く、冬になればなるほど美味しくなるという。夏でこれだけ美味しいのなら冬はどんなもんだと言うんだ。平らげた。8貫って少なく感じるかもしれないが、歯応えがしっかりとあって、一貫一貫が濃厚。ちょうど良い量だった。常連さんとその一人旅の方とお話ししながら食べれたので、より温かな時間となってくれた。常連さんに女性の方は行動力があるんですねと言われたが私は「仕事です、ごめんなさい」と心の中で呟きながら、微笑み返した。
帰ってきて楽しみにしていた温泉へ。硫黄の匂いはもちろんなのだが、入った瞬間、肌がツルツルになっていくのが分かった。温度はそんなに高くないためか、熱いお湯が苦手な私でも長く浸かることができた。
お部屋に戻り、テレビを見てお布団へとダイブし1日目は終了。明日は雨予報なのでゆっくりする日にしようかしらと思いながら眠りについた。

2025.10.04(土)
文・写真=川床明日香