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役者は平等に意見を持っていい

――今回の経験を経て、ものづくりへの意欲というか、また作品に企画段階から参加したいという気持ちになりましたか?

 そうですね、今後もやっていくと思います。というのも僕は役者さんたちが主役だろうと、そうじゃなかろうと、平等に意見を持っていいものだと思っているんです。その意見を吸い上げて制作の上の方に伝えるのには、やっぱり僕のような人間がやった方が打率が上がる。そういうパイプのような役割は必要なんじゃないかと、昔から現場で感じていたし、それが出来る現場であれば積極的にやっていきたい。

 もちろん意見を吸い上げていく段階で、「それは役者のエゴじゃない?」とか、「それは作品というより、自分が前に出ちゃってない?」というやり取りは必要だとは思うんですけど、本当に純度が高い意見も絶対にある。今回も撮影部さんや照明部さんの提案が重要だったし、技術面なども含めて海外での評価に繋がったんだと思います。

 監督も初日に「みんなで作っていかないと出来ない作品だと思うから、みんなが思うことがあったら言ってほしい」と言っていましたが、その通りに、全部吸い上げて、現場に戻してくれてましたので。

 もちろんこれとは別に、監督一強の現場であれば、監督を信じてついていくというのも醍醐味なので、それはなくなってほしくないと思いますけど。みんなの意見が必要な作品であれば、僕は積極的に入っていければなと思ってますね。

2025.08.27(水)
文=石津文子
写真=太田好治