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河内大和さん、小松菜奈さん…共演者との撮影の日々

――会社員風の“歩く男”を演じる河内大和さんが、ものすごくインパクトがありますね。

 河内さんは、大変そうでしたね。僕はその前にドラマ「VIVANT」で一緒だったので、話をする間柄でもあったんですが、撮影初日に「ごめん。足を痛めてる」って急に言い出して(笑)。

 撮影では、僕が問題の通路に入った3歩目、「よーいスタート! 1、2、3」ってなったら河内さんが歩き出すんですが、それが全然合わなくて。スタートから何秒後に出ましょうって、2人でずっとタイミング合わせをやってましたね。「あ、おじさん」って3周目くらいで僕が言うんですが、河内さんは足が痛くて、そのタイミングに間に合わない。

 練習の時は、河内さんがゲームのまんまのフォルムで歩いていて、再現度がすごく高かったんですよ。あまり褒めたから、やりすぎちゃったのかな(笑)。でもテーピングしたりして、すごく頑張っていました。本当に大変なお芝居だったと思います。

 それと、僕は撮影では河内さんとしかほぼ絡まないので、話し相手にもなってくれて。出番じゃない日も来てくれて、ナル(浅沼成)と遊んでくれたりとか、役者さん以上の働きをしてくれて、現場もほんとに助かったと思います。

――役柄を明かせないですが、小松菜奈さんとの共演についても教えください。

 小松さんは久々の演技ということで、とても緊張していたそうです。そんなふうには見えず、後から監督に聞いて知りました。小松さんは出番じゃない時にも現場に来て雰囲気を見たり、監督とやり取りをしながら、お芝居を作ってたみたいです。

 あるシーンの撮影の日、僕から「すみません、ちょっと付き合ってください」ってお願いして、小松さんに現場に来てもらいました。僕が異変に気づいて、自分の感情を吐露していく流れがどうしても欲しかったので。元々の台本とは割と違うアプローチのやり方も多かったので、小松さんにはよく謝ってましたね(笑)。でも、小松さんは「わかりました」と言ってやってくれていました。

 映画は順撮りでは全くなかったんですが、前半はほぼ僕1人の撮影が多かったので、現場に小松さんが出てきた時はみんな嬉しそうでした(笑)。いいスパイスになってましたね。

2025.08.27(水)
文=石津文子
写真=太田好治