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眞人役とのギャップを楽しみながら、ドラマで問題児を熱演

――そのほか、アフレコ時の印象的なエピソードを教えてください。

 最初から「母さん!」と叫びながら走るハードなシーンだったので、激しい息遣いをしなければならず、酸欠寸前になるぐらいまでやって大変でした。実はキャストの中で、僕がいちばん初めにセリフを入れたんです。台本にはほかのキャストの方のセリフも書いてありましたが、誰の声も入っていない状態なので、会話のキャッチボールみたいなものができず、ある程度、目星を付けながら普段とは違った感覚でお芝居をした記憶があります。

――公開日まで第三者に言えないという特殊な状況は、いかがでしたか?

 宣伝も一切できなかったので、「何か凄い秘密を背負っている!」という感覚がありました。家族には言えたのですが、オーディションに受かった翌日に、学校に行くときは緊張しました(笑)。台本をリュックに入れて登校したときもドキドキしました。

 あとは、作品を観たお客さんが最初に思うことって、「この声、誰?」だと思うんです。先入観を持って作品を観られない感じが逆に良かったのかな、ととても勉強にもなりました。

――公開初日の翌日(2023年7月15日)には、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)が放送開始。ここではクラスの問題児・瓜生役を演じられました。

 街で声をかけていただくことがあったり、本当に反響が大きかったので「この調子で頑張りたい」という感覚はありました。瓜生はとても嫌なやつだったので、『君たちはどう生きるか』の眞人とのギャップに驚かされつつ、放送を楽しみながら見ていました。SNSでも「ぜんぜん違う役だけど、声だけは眞人の面影があってリンクしました」と言ってくださる方もいて、嬉しかったです。

 生徒役の中では、僕が最年少だったのですが、みんなに見られながらお芝居をする場面は気持ち良かったですし、「作品にいい影響を与えたいし、貢献したい」という気持ちも強く、ガツガツと前に行っていましたね。

山時聡真(さんとき・そうま)

2005年6月6日生まれ、東京都出身。5歳より芸能活動を開始し、16年『ゆずの葉ゆれて』で俳優デビュー。 そのほか、映画『ラーゲリより愛を込めて』(22)、『君たちはどう生きるか』(23)※声の出演、『あのコはだぁれ?』(24)、『アンダーニンジャ』(25)、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(23/NTV)、「民王R」(24/EX)などに出演。現在、日本テレビ系ドラマ「ちはやふる−めぐり−」が放送中。
写真:©2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会

『蔵のある街』

小学校からの幼なじみである蒼(山時聡真)と祈一(櫻井健人)と紅子(中島瑠菜)は、岡山県倉敷市に住む高校生。ある日、蒼と祈一は、紅子の兄で自閉スペクトラム症の恭介(堀家一希)が神社の大木に登って叫んでいる場面に遭遇。彼をなだめようと、花火を打ち上げる約束をする蒼だったが、紅子から怒りの言葉をぶつけられてしまう。紅子の涙に約束の重みを痛感した蒼たちは、約束通り街で花火を打ち上げるべく奔走する。
©2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会
https://kuranoarumachi.com/
MOVIX倉敷にて先行公開中。8月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

〈衣装クレジット〉

ジャケット¥46,200/Wizzard(TEENY RANCH 03-6812-9341) パンツ¥108,000/peter wu(M 03-6721-0406) その他/スタイリスト私物

次の話を読む「20歳になったので今度は…」注目俳優・山時聡真が憧れの先輩・菅田将暉におねだりしたいこと

2025.08.22(金)
文=くれい 響
写真=平松市聖
ヘアメイク=髙橋幸一(Nestation)
スタイリング=西村咲喜